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BIMコンサルティングの第一人者だ。「ところざわサクラタウン」では、外装の複雑な納まりをBIMの3Dモデルで検証していった。大規模プロジェクトやBIMサポートの経験を生かして、建材メーカーと共同で外装の自動作成ツールも開発する。

(写真:山田 愼二)
(写真:山田 愼二)
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渡辺 健児(わたなべ けんじ)
1970年生まれ。日本大学芸術学部デザイン学科卒業。メーカー勤務を経て渡英の後、建築CG制作会社に入社。ロンドン五輪スタジアムのCG制作を最後に日本に帰国。2015年、建築デザインのビジュアル化を担うヴィックを設立、シンテグレート合同会社のディレクターに就任。現在BIMマネジャー、コンサルタント、プログラマー、VR開発者など社員約20人の組織を統括しながら建設業に幅広くサービスを展開

 渡辺健児氏が代表社員として日本事務所を統括するシンテグレートは、コンピューターテクノロジーを駆使し、建築設計から製作・施工に至る過程を効率化するコンサルティング会社だ。複雑な形状を可能にするデジタルデータの作成、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入支援、プログラム開発──を3本柱としている。

 複雑な形状を実現した最新事例が隈研吾建築都市設計事務所のデザイン監修による「ところざわサクラタウン」だ。シンテグレートは、鹿島の下で広場に面するテラスの外装を施工した旭ビルウォールの依頼で、設計と製作、施工をサポートした〔図1〕。

(資料:シンテグレート)
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(写真:日経アーキテクチュア)
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(資料:シンテグレート)
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(資料:シンテグレート)
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〔図1〕20年11月グランドオープンの「ところざわサクラタウン」(次号で詳報)は、KADOKAWAが手掛ける日本最大級のポップカルチャー発信拠点。デザイン監修を隈研吾建築都市設計事務所、設計・施工を鹿島などが担当。シンテグレートはテラスの外装パネルの設計、製作、施工を支援

 テラスの外装パネルは、三角形のエキスパンドメタルを斜めにつなぎ合わせたもの。部材のサイズの限界を考慮して割り付ける必要があった。また、端部では、部材と部材が斜めにぶつかる。渡辺氏は「そうした納まりをBIMのモデルで検証しながら設計側に投げかけて、施工性や製作しやすさを確認した上で最適な形状を決めていった」と振り返る。

BEPに精通したマネジャー育成

 日建設計が設計を手掛けた中東のプロジェクトは、BIMサポートの一例だ。米オートデスクのBIMソフト「Revit(レビット)」を中心にした設計体制づくりを支援するとともに渡辺氏が重視したのが「BEP(BIM Execution Plan)」と呼ばれる実行仕様書の作成だ。

 BEPでは、プロジェクトに関わるチームの役割や権限、使うソフト、データの名前の付け方といったルールが厳格に定められている。同氏によると、「BEPに基づいた運用は、海外では当たり前。世界レベルで建築の仕事をするには、BEPに精通したマネジャーの育成が急務だ」。

 もう1つの柱がプログラム開発だ。同社は、三菱ケミカルインフラテックによる建材「アルポリック」を外装に活用するツールを開発した。例えば、こういう外装にしたいとボリュームモデルのデータを送ると、パネルを自動的に割り付けして、サイズや枚数、重さなどを提示。さらに、製作図の作成まで自動化する〔図2〕。

[図2]アルミ樹脂複合板「アルポリック」をビル外装に活用するソフトウエア。製作図作成までのプロセスを自動化する(資料:シンテグレート)
[図2]アルミ樹脂複合板「アルポリック」をビル外装に活用するソフトウエア。製作図作成までのプロセスを自動化する(資料:シンテグレート)
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 「当社は大規模プロジェクトのマネジメントやBIM導入支援の知見があり、実効性ある開発ができるのが強みだ」と渡辺氏。幅広い人材を集めて、質の高い状態で、多様なアウトプットを提供していくのが同氏の狙いだ。