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2020年4月に開業した複合施設「GREEN SPRINGS(グリーン スプリングス)」。立飛(たちひ)ホールディングスの村山正道社長は、立川駅北側のこの開発で地域貢献を第一に考え、人々に親しまれる施設を生み出した。

(写真:北山 宏一)
(写真:北山 宏一)
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村山 正道(むらやま まさみち)
1951年生まれ。73年立飛企業入社。経理部長、常務取締役、専務取締役などを経て、2010年代表取締役社長。12年グループ再編に伴い立飛ホールディングスの代表取締役社長に就任。グループの所有不動産を、ららぽーと立川立飛、タチヒビーチ、アリーナ立川立飛などとして開発。立飛リアルエステート、立飛ストラテジーラボなどの代表取締役も務める

 立飛グループは1924年に設立された飛行機製造会社を前身とする。終戦で米軍に接収されていた不動産が返還された70年代半ば以降、不動産事業を核とするようになった。現在、東京都立川市内に約98万m²の敷地を所有する。村山正道社長は「立川市の真ん中に、市の面積の25分の1に相当する敷地を持っている責任がある」と話す。

 入社以来30年以上、経理畑を歩み、「決算書類を見るのは全く苦ではない」と言う。2012年にグループ内の経営統合を行い、所有不動産の一体開発の第1弾として「ららぽーと立川立飛」を三井不動産と共同で15年に開業。「アリーナ立川立飛」などの開発も陣頭指揮を執った。

 複合施設「GREEN SPRINGS」も社長直轄のプロジェクトだ。同社が所有している94万m²の敷地を生かすために、立川駅に近いこの場所が必要だと考え、15年に約4万m²の国有地を落札。約1万m²の広場を店舗やオフィス、ホール、ホテルが囲む開発を実現した〔写真12〕。

〔写真1〕中央に約1万m²の広場を設けたGREEN SPRINGS。写真奥が約2500席で多摩地区最大規模の多機能ホール(写真:立飛ストラテジーラボ)
〔写真1〕中央に約1万m²の広場を設けたGREEN SPRINGS。写真奥が約2500席で多摩地区最大規模の多機能ホール(写真:立飛ストラテジーラボ)
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(写真:SORANO HOTEL)
(写真:SORANO HOTEL)
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(写真:SORANO HOTEL)
(写真:SORANO HOTEL)
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〔写真2〕GREEN SPRINGS内につくった「SORANO HOTEL(ソラノホテル)」のロビーと屋上プール。村山氏の命名によるホテルは直営

 「GREEN SPRINGSは100年続く街と言っているが、そんな先のことは分からない。想像がつく50年後をイメージして今、何をすべきかをいつも考えている」(村山氏)

女性の意見で評価が決まる

 敷地は昭和記念公園に面する好立地だが、取得後3年以内に着工すること、「多摩地区オンリーワン」の文化施設をつくること、住宅の建設は不可という条件や規制があった。自衛隊の立川飛行場が近いため、航空法による45mの高さ制限も加わる。

 村山氏は「ららぽーと立川立飛」で協働し、信頼を置いていた関係者に、「ここから世界に発信するつもりで落札した。あとは頼む」とだけ言って任せた。「地域社会に対する責任という私の思いを彼らはよく分かっているから」と振り返る。

 着工までの3年間は敷地の除草のためにヤギを飼い、地元の人々を楽しませたアイデアマンでもある。また、「女性の意見を聞くこと。世の中の評価の9割は女性が決めている」が持論だ。女性が何をどう見ているか、日ごろから情報を集め、手掛けた施設では特に女性トイレに気を配る。

 GREEN SPRINGSには幅広い年齢層が訪れ、好調だ。「よい取り組みには人がついてくる」と村山氏。25年完成予定の次の開発に向けて、先を見据える。