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政府が打ち出すデジタル改革。建築確認申請の押印廃止や「IT重説」の本格運用など、建築実務に及ぼす項目は多い。行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)に触発され、民間でもデジタルシフトが急速に進みそうだ。
「書面主義、押印原則、対面主義」の見直しを旗印に、菅義偉内閣が目玉政策として進める規制改革。2021年以降、建築関連の行政手続きのデジタル化が急加速しそうだ。
その第1弾が、民から官への申請時に必要だった押印の原則廃止。対象は、建築確認や構造計算適合性判定(適判)といった建築設計者になじみ深い手続きから、建設業許可や経営事項審査の申請といった建設会社の経営に関わる手続きまで、多岐にわたる〔図1〕。
国土交通省住宅局の深井敦夫建築指導課長が「相当、合理的になるだろう」と語るように、建築確認申請時に図面への押印(認め印)を省略できるメリットは少なくない。
日建設計の大松敦社長は「手描きの時代と異なり、CADやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で効率的に図面をつくれるようになった半面、枚数がすぐに増えてしまう傾向にあり、すぐに100枚くらいになってしまう」と話す。「当社の場合、標準的な案件だと4人前後が押印するから、かなりの労力だった」(大松社長)