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建設産業をターゲットにするITスタートアップ企業、いわゆる「建設テックスタートアップ」が勢いを増している。彼らの中から、ユニコーン(企業価値が1000億円を超える未上場スタートアップ)は生まれるか。

 2020年7月に約40億円、同年10月に約20億円の大型資金調達を発表したアンドパッド(東京都千代田区)。リクルート出身の稲田武夫社長が12年に創業した同社(当時の社名はオクト)は、急成長中の建設テックスタートアップ企業だ〔写真1図1、2〕。16年から、住宅や商業施設などを手掛ける建設会社に、施工管理アプリ「ANDPAD(アンドパッド)」を提供してきた。

〔写真1〕累計約87億円を調達した成長株
〔写真1〕累計約87億円を調達した成長株
アンドパッドの稲田武夫社長。同社の従業員は2020年11月末時点で250人。「1年後には400人を超える予定だ」(稲田社長)(写真:日経アーキテクチュア)
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施工管理アプリ「ANDPAD」のイメージ
施工管理アプリ「ANDPAD」のイメージ
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〔図1〕国内スタートアップ企業の資金調達ランキング(2020年1月~10月)
〔図1〕国内スタートアップ企業の資金調達ランキング(2020年1月~10月)
2020年11月2日時点。一部融資や社債での資金調達を含む(関連会社からの資金調達は除く)。官民ファンドのINCJの主導で設立した企業は除く(資料:フォースタートアップスの資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔図2〕勢いを増す国内の建設テックスタートアップ企業
〔図2〕勢いを増す国内の建設テックスタートアップ企業
国内の主な建設テックスタートアップ企業を示した。施工管理ツールから書類作成ツール、建設機械のマーケットプレース、建設会社と職人のマッチングサービスまで多種多様だ(資料:各社の発表資料や取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 アプリはスマホで動く。クラウド上で写真や図面などを一元管理できるほか、日報や工程表の作成などの機能を幅広く備える。工程を担当者に通知する機能などもあるので、行き違いによる工期の遅れも防げる。

 複数の工事の進捗を一目で把握し、人の手当てや現場間のスケジュール調整などができる機能もある。利用料金は初期費用などを除いて月額6万円(100IDのベーシックプラン、税抜き)だ。

 ANDPADが他社製品と異なるのは、上記のような施工管理ツールと、コミュニケーションツールが連動している点だ。元請けだけでなく、協力会社や職人もIDを持ち、工事関係者がチャットなどで意思疎通を図ることで、全体として生産性を高める。ANDPADのユーザーは元請けで2300社。5万社の協力会社、15万人の職人が利用するまでになった。