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建設産業をターゲットにするITスタートアップ企業、いわゆる「建設テックスタートアップ」が勢いを増している。彼らの中から、ユニコーン(企業価値が1000億円を超える未上場スタートアップ)は生まれるか。
2020年7月に約40億円、同年10月に約20億円の大型資金調達を発表したアンドパッド(東京都千代田区)。リクルート出身の稲田武夫社長が12年に創業した同社(当時の社名はオクト)は、急成長中の建設テックスタートアップ企業だ〔写真1、図1、2〕。16年から、住宅や商業施設などを手掛ける建設会社に、施工管理アプリ「ANDPAD(アンドパッド)」を提供してきた。
アプリはスマホで動く。クラウド上で写真や図面などを一元管理できるほか、日報や工程表の作成などの機能を幅広く備える。工程を担当者に通知する機能などもあるので、行き違いによる工期の遅れも防げる。
複数の工事の進捗を一目で把握し、人の手当てや現場間のスケジュール調整などができる機能もある。利用料金は初期費用などを除いて月額6万円(100IDのベーシックプラン、税抜き)だ。
ANDPADが他社製品と異なるのは、上記のような施工管理ツールと、コミュニケーションツールが連動している点だ。元請けだけでなく、協力会社や職人もIDを持ち、工事関係者がチャットなどで意思疎通を図ることで、全体として生産性を高める。ANDPADのユーザーは元請けで2300社。5万社の協力会社、15万人の職人が利用するまでになった。