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音声で家電や照明、空調などを制御したり、エネルギー消費を最適化したりする従来のIoT(モノのインターネット)住宅から一歩進み、空間自体を変化させてユーザーの生活を豊かにするユニークな企業が現れた。

 朝出かける際には衣服や小物をしまったクローゼットが、夜になるとベッドが、天井から吊り下げられてするりと降りてくる──。不思議な家具を開発したのは、米Bumblebee Spaces(バンブルビースペース)(以下、バンブルビー)。2019年に投資家から約1800万ドル(約19億円)の資金を調達した、注目のスタートアップ企業だ〔図1〕。

〔図1〕天井の空間をミツバチのように有効活用
〔図1〕天井の空間をミツバチのように有効活用
クローゼットなどの家具は普段、天井に格納されている(資料:Bumblebee Spaces)
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クローゼットやデスクなどを、天井から自在に呼び出すことができる(資料:Bumblebee Spaces)
クローゼットやデスクなどを、天井から自在に呼び出すことができる(資料:Bumblebee Spaces)
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居住者の生活スタイルを学び、暗くなると自動でベッドを出してくれる(資料:Bumblebee Spaces)
居住者の生活スタイルを学び、暗くなると自動でベッドを出してくれる(資料:Bumblebee Spaces)
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賃料の高騰が激しい米国の都市部での生活から生まれたアイデアだ(資料:Bumblebee Spaces)
賃料の高騰が激しい米国の都市部での生活から生まれたアイデアだ(資料:Bumblebee Spaces)
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 バンブルビーはミツバチ科のマルハナバチを指す言葉。米アップルやテスラモーターズを経て17年にバンブルビーを設立したサンカルシャン・ムルティCEO(最高経営責任者)は社名の由来について、「生態系で重要な役割を果たし、空間を有効活用しているからだ」と説明する。

 ムルティCEOがバンブルビーを設立した背景には、米国の都市部における家賃の高騰がある。ロサンゼルスの場合、収入の5割近くを家賃に持っていかれるような状況。高所得者でもなかなか広い家を持つことができない。どうにかスペースを確保できないかと考え、利用されずに残る頭上の空間に行き着いた。