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気候変動の影響で、最大風速60m以上の「スーパー台風」が日本に襲来するリスクが高まっているとされる。そんな未来を見据え、最新のテクノロジーを活用し、被害調査や復旧を高速化する取り組みが始まった。

 ドローンによる測量や点検を手掛けるテラドローン(東京都渋谷区)は、地震や台風で被災した住宅の屋根調査から保険金の支払い、復旧工事までを元請けとしてワンストップで提供するサービスを2021年から本格的に始める。三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険と連携する〔写真1〕。

〔写真1〕損傷した屋根をドローンで調査
〔写真1〕損傷した屋根をドローンで調査
ドローンで撮影した屋根の被災状況。テラドローンはドローンで屋根を点検し、寸法の確認や見積もりに必要な面積の算出などが簡単にできるサービスを展開している。足場を組んで屋根に上る必要がなく、被災後の調査にも威力を発揮する(写真:テラドローン)
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 サービスの概要はこうだ。被災者から連絡を受けた損保会社が、テラドローンを紹介。同社と提携したパイロットや工事会社を、全国各地から被災地に派遣して被害を調査し、損保会社と取り決めた価格表に従って見積もりを作成する〔図1〕。

〔図1〕テラドローンが調査や見積もりから工事発注までを代行
〔図1〕テラドローンが調査や見積もりから工事発注までを代行
テラドローンの新規事業の概要。損保会社にとっても、保険金支払いの迅速化はサービス向上につながる。同社はドローンの画像からAIで損傷を検出し、見積もりを自動化する方針だ(資料:テラドローン)
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 その後、テラドローンが見積もりと写真を損保会社に提出。建て主の承認の下で同社が保険金を受け取り、協力会社に修繕工事を発注する。被災エリアを拠点とする協力会社に資材などを用意してもらい、人手に余裕がある別の地域の協力会社が応援に駆けつける相互扶助のような仕組みだ。

 従来は、被災者が自ら工務店などに依頼して被災箇所を調査し、工事費の見積もりを損保会社に提出したり、修繕工事を発注したりしなくてはならず、保険金が下りて工事に着手するまでに時間がかかっていた。

 このサービスであれば、大規模災害時に保険金が下りるまでに最大3カ月ほどかかっていたのを、3分の1に短縮できるという。テラドローンが施工者の手配を代行するので、保険金が下りても工事に取り掛かれない事態も防げる。テラドローンで新規事業開発を担当する関隆史氏は、「20年の台風10号で試しに運用してみたところ、スムーズに見積もりの提出や保険金の支払いができることを確かめられた」と語る。