コロナ禍を契機に、デジタル技術を活用して業務や組織、ビジネスモデルなどを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している。人手不足や長時間労働、低い労働生産性に悩む建築界も例外ではない。2021年は「建築DX」が本格化する節目の1年になりそうだ。建築はデジタルでどのように進化するのか。先進企業は何に注力しているのか。最新事例をちりばめた10のエピソードを基に考える。

建築DX元年
2021年、建築デジタル革命が始まる
目次
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押印廃止、行政も動く建築DX
政府が打ち出すデジタル改革。建築確認申請の押印廃止や「IT重説」の本格運用など、建築実務に及ぼす項目は多い。行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)に触発され、民間でもデジタルシフトが急速に進みそうだ。
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グーグル兄弟会社も開発 ジェネレーティブデザイン
与条件に基づいて多様な設計案を自動生成し、設計者を支援するジェネレーティブデザインが、実用段階に入った。米Google(グーグル)の兄弟会社から大和ハウス工業まで、設計の自動化の最前線を追う。
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地方から世界を狙う 建設3Dプリンター革命
大手ゼネコンも近未来の技術として開発にいそしむ建設3Dプリンター。北海道でコンクリート製品の製造・販売を手掛ける企業が、国内で初めて小規模建築物を「印刷」した。見据える先は海外市場だ。
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バーチャル空間をつくる 設計事務所が続々登場
VR(仮想現実)などのデジタル技術を活用して、現実空間では味わえない新たな空間体験を創出できないか──。そんなニーズに応えようと、バーチャル空間の設計を手掛ける建築設計事務所が現れた。
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デジタルで移動激変 建築設計も変わる
デジタル技術の進化に伴い、建築・都市の設計はどう変わるのか。1月1日に日建設計の代表取締役社長に就任した大松敦氏は、コロナ前から「人の移動」が大きく変化し始めていたことに着目する。
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「スマート生産」発表から2年 目下、建設ロボット改良中
「作業の半分はロボットと」というビジョンを掲げて生産性向上を図る鹿島。ビジョン発表から2年、ロボットの改良が着々と進む。他社や異業種との連携を深め、建設現場を工場に近づけようとしている。
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モジュール化を徹底 シンガポールのPPVC
建設ロボットで現場を「工場」に変えるアプローチに対して、工場で建築物のモジュールを製造し、現場で組み立てるという発想が、世界で改めて注目を集めている。その最前線が、シンガポールだ。
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大型資金調達で攻勢 建設テックスタートアップ
建設産業をターゲットにするITスタートアップ企業、いわゆる「建設テックスタートアップ」が勢いを増している。彼らの中から、ユニコーン(企業価値が1000億円を超える未上場スタートアップ)は生まれるか。
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海外スタートアップ総覧50
米国を中心に、建設テック企業への注目度が高まっている。筆頭格が、施工管理ソフトウエアを手掛ける米Procore Technologies(プロコアテクノロジーズ)だ。2003年創業の同社は、スマホなどの普及とともに急成長を遂げ、20年2月にはニューヨーク証券取引所への上場を目指して手続きを開始した…
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元アップル社員が目指す “仰天”のIoT住宅2.0
音声で家電や照明、空調などを制御したり、エネルギー消費を最適化したりする従来のIoT(モノのインターネット)住宅から一歩進み、空間自体を変化させてユーザーの生活を豊かにするユニークな企業が現れた。
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気配り上手のスマートビル システム間の連携も楽々
スマートビルが進化し、その守備範囲が広がるにつれ、これまで別々に運用していた設備やシステムを統合管理するプラットフォーム、いわゆる「建物OS」を提供する企業が現れた。その争奪戦が激化しそうだ。
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スマートシティー争奪戦 目指せ「デジタルゼネコン」
2021年以降、スマートシティーを巡る動きが加速する。各地でモデル事業が本格化し、内閣府の「スーパーシティ構想」も始動する。様々な業種の企業がしのぎを削る新たな舞台で、建設会社などはどう戦うか。
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ドローン×保険×職人でスーパー台風に備える
気候変動の影響で、最大風速60m以上の「スーパー台風」が日本に襲来するリスクが高まっているとされる。そんな未来を見据え、最新のテクノロジーを活用し、被害調査や復旧を高速化する取り組みが始まった。