120mm角の通し柱を採用しながら、間柱の厚さ(壁厚方向)は105mmしかない。この不ぞろいが、通気層内の雨水の流れを阻害し、開口部付近で雨漏りを招く一因になった。そのメカニズムを解説する。(日経アーキテクチュア)
雨漏りが発生したのは、築8年の木造2階建て住宅だ。屋根は三方パラペットの片流れで、溶融アルミ亜鉛メッキ鋼板を採用。外壁は窯業系サイディングで仕上げていた。
住まい手によると、数年前から強風雨が発生した際に、南面1階のサッシ上部の留め付けビス穴から雨漏りするようになったという〔写真1〕。住まい手は、建設した住宅会社に修理を依頼。2階サッシまわりのシーリング材を打ち替えたり、1階サッシ上のシーリング材に水抜き用の排水部材を埋め込んだりしたが、雨漏りは止まらなかった。
その後、住宅会社は倒産。住まい手は住宅瑕疵(かし)担保責任保険を使用する前提で、筆者に修理を依頼してきた。
早速、原因調査に着手した。まず目を付けたのは、サイディング目地のシーリング材が劣化した箇所。しかし、目地の部分に散水しても漏水は生じなかった。
外壁をつぶさに観察すると、バルコニー周辺で、施工する際に寸法調整でカットしたサイディング材の一部にクラックが生じているのを発見。クラックに散水すると、1階サッシ上のビス穴から雨漏りした〔写真2〕。
サイディングを剥がしてみると、透湿防水シートにオレンジ色の染みがあった。室内側から発泡ウレタン断熱材が、直接吹き付けられていたことに起因する染みだ。この工法は、断熱材によって透湿防水シートが外側に膨らんで通気層を塞ぐので、禁じ手とされている〔写真3〕。