窓回りのクロスに黒カビが発生していた事例を紹介する。結露の可能性も疑ったが、窓脇の入り隅部分に取り付けた細長いサイディングに問題があった。木胴縁をくぎ留めした箇所から雨水が浸入していた。
「2階サッシ脇のクロスに黒カビが発生している。雨漏りではないか。築5年だが、建てた工務店は倒産していて困っている」と、住まい手から相談があった〔写真1〕。
現地を調査すると、南面にある窓脇のごく一部に黒カビが発生していた。築年数の古い住宅では、断熱性能が低いシングルガラスに結露が発生し、窓の回りに黒カビが発生することがある。しかし、この住宅は断熱性能が高いアルミ樹脂複合サッシだ。住まい手に暖房設備を確認してもエアコンのみで、湿気が発生するような設備は使用していない。24時間換気の給気口も「開」となっていた。結露が発生しやすい状況ではない。
次に、雨漏り調査を行った。外壁サイディングは光触媒機能のある高耐久仕様となっていた。それに合わせてシーリングも高耐久仕様である。はしごから目視で確認した範囲では、サイディング目地や窓回りのシーリングに破断や剥離は見られなかった。散水調査は、サイディングの相じゃくりを中心に行った。しかし、漏水は確認できなかった。
現地調査時に気になったのが、窓脇の入り隅部分に取り付けられていた細長くカットしたサイディングだ。細長いサイディングの上端と、窓上のサイディングとの隙間が狭くなっていた〔写真2〕。目視ではその部分のシーリングに破断や剥離があるかは分からなかったので、その部分に散水した。すると、室内で撮影した赤外線サーモグラフィー画像で漏水による温度低下を確認できた〔写真3、4〕。