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東京・大手町から淡路島へ本社機能を移転する──。2020年9月、大胆な発表で世間を驚かせたのが派遣大手のパソナグループだ。現在、島内で海や山を望む新オフィスや社宅を次々と構えている。現地で実態を探った。

 大阪湾を一望できるリビングで朝食をとり、マンション1階に併設されたオフィスに出社して1日が始まる〔写真1〕。夕方になると、小学生の子どもをオフィス内の学童施設に預けて仕事を再開。終業後は、海が見えるレストランで他部署の同僚家族と談笑しながら夕飯を済ませる──。

〔写真1〕スーパー跡を改修したオフィス
〔写真1〕スーパー跡を改修したオフィス
パソナグループが淡路島に本社機能を順次移転している。写真は、2020年10月に開業した「パソナファミリーオフィス」。マンションの1階にあった約1500m2のスーパー跡をオフィスに転用した。マンションは一部を社宅に活用。併設する学童施設では、英語や楽器、空手、バレエなど様々な習い事教室も開いている(写真:生田 将人)
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 これは、パソナグループの総務部門に勤める30代女性社員A氏のある1日だ。同社が本社移転を発表した後、A氏は「キャリアプランを変えずに自然豊かな環境で暮らせるなら」と、異動を希望した。コロナ禍で東京の暮らしに不安もあった。意を決し、小学生の子どもと2人で、東京を離れて兵庫県の淡路島に居を構えた。