大規模商業施設を核として街に近い性格の場所をつくり、ダイナミックな機能複合で近隣を巻き込む。名古屋と東京・亀戸で大手事業者が、これまでのビジネス領域を踏み越える挑戦的なプロジェクトを推進している。
JR名古屋駅の北東1kmの場所にイオンモールが、オフィス併設型の商業施設第1号「ノリタケの森プロジェクト」を建設中だ。賃貸面積約3万7000m2のショッピングモールと同約2万2000m2のオフィスから成る。2021年内の開業を予定する。
食器事業などを手掛けるノリタケカンパニーリミテドが01年に開設した産業観光施設「ノリタケの森」の広場部分に面する。同社工場跡地を活用するプロジェクトだ。
モールの上に、3層のオフィスフロアを載せる。東面を段状テラスとし、広場と連続させる。ワンフロアの賃貸面積は約7000m2。「低層なので、どのフロアの利用者も広場とつながるメリットを享受できる」と設計を担当した大成建設設計本部建築設計第三部の網干和専任部長は説明する。
「ライフスタイルオフィス」をつくるとイオンモールはうたう。「働く人と企業を支える」インフラの提供にビジネスを拡大する構えだ。商業施設におけるヘルス&ウエルネスのサービスなどをワーカー向けに展開。健康診断を受診できる医療施設、仕事の前後を利用できるフィットネスクラブなどで健康面をサポートする。
網干専任部長は、神奈川県藤沢市の「テラスモール湘南」、名古屋市の「Hisaya-odori Park(ヒサヤオオドオリパーク)」などを手掛けた経験を持つ。「コミュニティーの在り方や、消費の傾向は時代とともに変わる。近年は商業施設や公園を舞台に多様な交流の可能性が開けてきた。コロナ禍も含め、社会の変化を計画に反映させる必要がある。ノリタケの森プロジェクトには新たな要素が多く、難度が高かった」と語る。