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2021年以降に完成する注目プロジェクトを紹介する。大規模開発の多くが完成に向かう一方で、「ポスト五輪」や「ウィズコロナ」対応の萌芽(ほうが)を感じさせる事例が相次ぐ。街との連動性の強化や、運用まで踏み込んだ環境配慮、既存改修もあり、今後もバリエーションに富んだ開発が続きそうだ。
プロジェクトデータの見方
主要な設計事務所や建設会社、不動産会社など合計88社の協力を得て、2021年以降に完成する各地の建築プロジェクトや開発計画を調査した。概要データの白抜き数字は、❶ 所在地 ❷ 発注者、事業者 ❸ 設計者 ❹ 施工者 ❺ 竣工時期 ❻ オープン時期 ❼ 主構造 ❽ 階数 ❾ 延べ面積 を表示した。同じ内容が続く場合は白抜き数字を連続させた。プロジェクト名は仮称、略称を含む。「─」は未定、非公表、不明を示す。設計者と施工者は原則、建築工事のみを表示。プロジェクト冒頭の数字は竣工年。「年度」で公表されている場合は、次年扱いとした。各用途内での並び順は、概ね竣工予定順。特記のない資料や写真は、当該プロジェクトの設計者もしくは施工者、発注者の提供。記載情報やパース資料はいずれも予定で変更の可能性がある
オフィス、⼤規模再開発など
21年 大手町1-4-2計画(丸紅新本社ビル)
皇居を一望する最先端オフィス
丸紅本社の建て替え計画。免震構造を採用し、事業継続機能を高めた。アウトフレームの柱・梁に庇を積層して日射を遮蔽し、彫りの深い印象的な外観とする。執務空間は南側に位置する皇居の緑を一望できる広いワンフロア。低層部は飲食店、貸会議室、ギャラリーから成る文化交流機能の拠点とし、周辺への貢献も目指す。
❶ 東京都千代田区大手町1-4-2 ❷ 大手町142特定目的会社 ❸ 日建設計、大成建設(基本設計)、大成建設(実施設計) ❹ 大成建設 ❺ 21年2月 ❻ ─ ❼ S造、一部RC造(免震構造) ❽ 地下2階・地上22階 ❾ 8万602.6m2
21年 兜町7地区開発計画(KABUTO ONE)
“株式の街”兜町の新しい顔
日本橋兜町地区の再開発第1号。金融人材育成のための施設などを設け、“株式の街”兜町の発展の核とする。交差点に面したアトリウム内に株式情報などの大型表示装置を設け、兜町の新たなシンボルとする。茅場町駅に直結。再開発で周辺道路を拡幅する他、建物中央部には24時間歩行可能な通路を設けて歩行者交通の拡充を図る。
❶ 東京都中央区日本橋兜町7 ❷ 平和不動産、山種不動産、ちばぎん証券 ❸ 三菱地所設計(意匠、設備、都市基盤)、大林組(構造) ❹ 大林組 ❺ 21年6月(一部) ❻ 21年7月 ❼ S造、一部SRC造(免震構造) ❽ 地下2階・地上15階 ❾ 3万9423m2
21年 横濱ゲートタワー
オフィスビルにプラネタリウム併設
横浜駅からの玄関口であり、横浜港へとつながる都市軸の起点に位置する。先進企業の集積と交流に寄与するオフィスを設ける。さらに、プラネタリウムを併設するなど、横浜の新たな名所となるアクティビティー空間も計画する。オフィスフロアは専有面積約2750m2を確保、特殊な用途へ対応できるフロアも設けた。外装には自然換気システムを導入した。
❶ 横浜市西区高島1-2-50他 ❷ 鹿島、住友生命保険、三井住友海上火災保険 ❸ 鹿島 ❹ 鹿島・鉄建建設・小俣組JV ❺ 21年9月 ❻ ─ ❼ S造(制振構造) ❽ 地下1階・地上22階 ❾ 8万3713.0m2