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基礎の鉄筋とスリーブ管の接触は、住宅瑕疵担保責任保険の検査でも是正を求められることが少ないようだ。しかし、かぶり厚の不足は法令違反。かぶり厚を確保しやすい基礎の仕様に見直したい。(日経アーキテクチュア)

基礎の配筋検査において、外周の立ち上がり部分で主筋とあばら筋にスリーブ管が干渉していた。必要なかぶり厚を確保できていない(写真:カノム)
基礎の配筋検査において、外周の立ち上がり部分で主筋とあばら筋にスリーブ管が干渉していた。必要なかぶり厚を確保できていない(写真:カノム)
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 新築工事の配筋検査において、上の写真のようにスリーブ管と鉄筋が接触している状態をよく見かける。住宅建築の現場では慣習的に施工されており、住宅瑕疵担保責任保険の検査などでも黙認されて是正を要求されることはほとんどない。ごく一部分の接触ならば影響が少ないと判断されているのだろう。

 しかし、施工者側で問題がないと判断しても、建て主によっては、かぶり確保の原則を守れと強く是正を求めるケースがある。

 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚は、建築基準法施行令79条で定められている。布基礎の立ち上がりで土に接する部分が最低40mm、土に接しない部分が同じく30mmだ。

 このかぶり厚を原則、確保しなければならない。建て主から不備を指摘されれば、納得できるように説明するのは難しい。

 スリーブ管と鉄筋の接触について私も2019年に、大手ハウスメーカーが手掛ける現場の配筋検査で指摘した。しかし、瑕疵保険の検査などで事実上、黙認されているという現状も踏まえ、是正を求めなかった。

 その理由は、是正するには鉄筋を複数、継ぎはぎするか、配管計画を変更する必要があったからだ。狭い範囲で複数の鉄筋を継ぎはぎすることは構造的に好ましくない。配管計画の変更も設計自体を変えることになり、大掛かりな手戻りが生じるので、現実には不可能であった。

 だが、建て主は「接触を是正できないのならば配筋をやり替えろ」と強く抗議してきた。インターネットに掲載された「是正すべき」とする情報を信頼して、私の意見を聞き入れず、工事が止まってしまった。