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国のデジタル化推進方針を受け、国土交通省は規制緩和に舵(かじ)を切った。まず建築士法に基づく重要事項説明として「IT重説」を正式解禁。法定書面のデジタル化容認、設計図書の押印廃止、デジタル保存解禁も予定する。

 国家資格である建築士の独占業務には、法に定められた規定が数多く存在する。建築主と建築士事務所という民間同士の契約関係であっても、法定書面は紙の書類で交付しなければならず、押印箇所は数多い。直接対面して実施する業務もある。政府は「書面、押印、対面」を原則とした手続きの抜本的見直しを進めており、2021年は建築界でも規制緩和が一気に進む〔図1〕。

〔図1〕独占業務には法令制限がある
〔図1〕独占業務には法令制限がある
建築士の独占業務は法令に基づく必要があり、紙の「書面」や押印(認め印)が制度の前提となっている。デジタル化に向け、この前提条件を変更する建築士法改正が控えている(資料:日経アーキテクチュア)
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 建築士向け規制緩和の第1弾となったのが、テレビ会議システムなどITを活用した建築士の重要事項説明(IT重説)の正式解禁だ。国交省は1月18日、IT重説の実施マニュアルを公表し、「マニュアルに沿って行われたIT説明は建築士法に基づく重説として取り扱う」とする法解釈を明らかにした〔図2〕。

〔図2〕事前同意などは営業マンでも可能
IT重説の実施マニュアルの概要。建築士事務所における補助者の業務範囲と有資格者でしか行えない業務範囲が明確化された。今後予定される法改正で法定書面のデジタル化も可能となる見通しだ(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
IT重説の実施マニュアルの概要。建築士事務所における補助者の業務範囲と有資格者でしか行えない業務範囲が明確化された。今後予定される法改正で法定書面のデジタル化も可能となる見通しだ(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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IT重説の実施マニュアル(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
IT重説の実施マニュアル(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 建築士による契約前の重説は、構造計算書偽造事件を受けて08年に施行された改正建築士法で始まった制度だ。コロナ禍を受けて国交省は20年5月、暫定運用としてIT重説を一時的に認めた。並行して社会実験による検証を進めていた。