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国土交通省は、既存住宅の流通を活性化するため、紛争処理の体制整備に乗り出す。さらに、既存住宅で発生した瑕疵(かし)の事例を収集、分析して、予防策の研究に取り組む。2021年度からデータベース構築を始める。

 国土交通省は、住宅品質確保促進法で実施している紛争処理の対象に既存住宅を加える改正案を2021年通常国会に提出する予定だ。既存住宅の売買やリフォームにまつわるトラブルが増加傾向にあり、流通促進には紛争の受け皿が必要と判断した。住宅品確法の紛争処理制度を活用する。社会資本整備審議会に設置した小委員会の取りまとめを受けた動きだ。

 新たに対象とするのは、既存住宅売買瑕疵保険など既存住宅を対象とした「2号保険」に加入した住宅。住宅瑕疵担保履行法に基づく瑕疵保険には、新築向けの1号保険と、既存住宅向けの2号保険がある。1号保険付き住宅では、図面や施工時の写真、現場検査の記録などを第三者である登録住宅性能評価機関や保険法人が管理しており、弁護士会などの指定住宅紛争処理機関が必要に応じてこれらの資料の提出を求めることができる。2号保険付き住宅であれば、1号保険付き住宅と同様、紛争処理の際に重要な事実関係が把握できる。

支援センターの業務拡充

 さらに、住宅紛争処理支援センターの業務を拡充することを住宅品確法の改正案に盛り込む方針だ。同センターは現在、紛争や苦情に至った事例への対応が主な業務。これに加え、瑕疵の発生原因を分析し、その防止策をまとめる役割を追加する。将来的には、瑕疵の予防策を情報発信することも視野に入れる。既存住宅は新築時の施工不良以外に、リフォーム工事の施工不良や部材の経年劣化など、不具合に至る要因が考えられる。新築より多くの不具合事象とその要因に関する情報を収集・分析する必要がある。

 国交省は、21年度の予算案に「統合的な情報インフラ整備事業」を計上した〔図1〕。既存住宅の質の向上や瑕疵の発生防止を図るため、住宅瑕疵情報や履歴情報など住宅に係る情報を収集・分析するためのデータベース構築を支援する。21年度から3カ年の補助事業で、予算は1億円を予定している。

〔図1〕瑕疵発生の防止に役立つ情報インフラを整備
〔図1〕瑕疵発生の防止に役立つ情報インフラを整備
国交省が瑕疵の情報や履歴情報を収集分析するためのデータベース構築を支援する事業のイメージ図。保険法人が有する保険引き受けや保険事故の情報に加え、修繕やリフォームの履歴情報、インスペクションの情報などを収集、分析して、瑕疵の発生防止に役立てる(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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