バブル世代の大量定年が近づき、60歳以降もいかに前線で働き続けてもらうか。建築界に課題が突き付けられている。いわゆる70歳定年法が2021年4月に施行。国もシニアが継続して働ける環境の整備を急ぐ。建築界では、定年を60歳から65歳に延長しようという企業が目立ってきた。設計者寿命を延ばすため、どんなキャリアを築いていくか。若い頃から、真剣に考えておくことが必要だ。今後を示唆する実例から、キャリアプランの描き方を探った。

設計者寿命の延ばし方
70歳定年法が求める「生涯現役」のシナリオ
目次
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設計部長まで勤め上げた後に大学へ
60歳の岐路に立つ
アトリエ事務所で修業を積んで独立、会社を早期退職して別の道を選択──。こうした慣例が崩れつつある。キャリアのステップアップに向け、選択肢は広がっている。
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設計チーフから青木淳氏の“相棒”へ
アトリエ事務所のパートナーに
青木淳氏が2020年7月、自身の設計事務所を「AS」へ改名し、パートナーに迎えたのが品川雅俊氏だ。08年入所の品川氏は14年、32歳でチーフに。現在、青木氏と対等の立場で、最初の大型プロジェクトをけん引する。
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アラップの設計を実測して相乗効果
エンジニアと教員を兼職
環境デザインエンジニアとして活躍する荻原廣高氏。環境の在り方そのものから提案するアプローチは、建築家からの信頼も厚い。アラップで様々なプロジェクトに関わってきた同氏は、その成果を後進の育成に生かし始めた。
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60代のシニアが表舞台に
国は、65歳以降も働く機会を確保するため、改正高年齢者雇用安定法を2021年4月から施行する。人手不足に悩む建築界は、シニアの人材により長く重要な戦力として働いてもらうことを期待している。
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生活の中のアイデアを積極投入 “山梨3部作”で揺るぎない評価
設計のトップに学ぶ/日建設計
最前線に身を置き、社会に問う建築をつくり続けてきた日建設計の山梨知彦氏と竹中工務店の原田哲夫氏。どんな視点や努力によって、設計の最大手組織で今の立場をつくったのか。手本ともいえる2人に聞いた。
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大阪の大型プロジェクトで実績 駅や街とのつながりを追求
設計のトップに学ぶ/竹中工務店
エリアのブランド力向上を目指すプロジェクトなど、自身の経歴を通じて意識したのは、建築と社会や都市との関わりだ。今は設計本部長として社会変革に対応する体制整備を進める。原田哲夫氏にキャリアの要諦を聞いた。
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FA宣言できる60歳を目指せ
バブル入社組の大量定年を控え、大手設計事務所やゼネコンでは、シニアの活用が大きなテーマになっている。働き手からみれば、実力次第で60歳以降に希望の職や待遇をつかみ取れるチャンスが広がる。