全1407文字
PR

改正意匠法の施行1年目、登録数で住宅会社が先行した一方、商業施設を展開する事業会社でも権利取得が進んだのは見逃せない。改正意匠法について、権利を取得した各社の狙いを聞いた。

 建物全体を階段状とし、屋根面を屋外の回遊空間に──。ファーストリテイリングが建築物として第1号の意匠権を取得した、「UNIQLO PARK横浜ベイサイド店」(横浜市)のデザインだ〔写真1〕。

〔写真1〕公園のあるユニクロ
〔写真1〕公園のあるユニクロ
「UNIQLO PARK横浜ベイサイド店」は、正面全体が階段状になっている地上3階建ての店舗で、延べ面積は約5700m2だ。服を買わない人でも、屋上まで歩いて登ったり、中腹のスペースにある滑り台などで遊んだりすることができる(写真:安川 千秋)
[画像のクリックで拡大表示]
(資料:特許庁)
(資料:特許庁)
[画像のクリックで拡大表示]

 登録に当たっては、店のコンセプトを構築したクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と、基本構想・デザイン監修を担当した建築家の藤本壮介氏を創作者に記した。

 ファーストリテイリングでは、知財部門が店舗デザインに関する部門と接する機会は、他の部門ほど多くはなかった。意匠登録をきっかけに両者の連携は深まっており、今後も店舗デザインの保護に取り組むという。

 具体的には、ロードサイド型やテナント型といった標準的な店舗でも新たなデザインを創作した場合には出願を検討する方針だ。同社法務・コンプライアンス部グローバル知的財産チームリーダーの中村精宏氏は、「他社による店舗デザインの模倣を防ぐことで、店舗の外観自体が当社のブランドの1つになる」と話す。

 意匠登録では、「創作者」欄に関係したデザイナーの名前が記録される。この点も同社の評価ポイントだ。独創的なデザインを生み出したデザイナーは誰か、権利が存続する間は公式記録として残ることになるためだ。