取材では大手建設会社、組織設計事務所にアプローチし、改正意匠法への対応方針を聞いた。他社に先駆けて積極的に取り組んでいるのが大林組だ。「手掛けた創作物の全件出願」を目標に掲げる。
2021年3月15日時点、大林組の取得が確認できた建築物の意匠権は8件。住宅会社を除けば、建設会社では最多となる。この8件はすべて、同社が横浜市に建設している自社研修施設のプロジェクトで投入したデザインの数々だ〔図1〕。
〔図1〕自社の研修施設で大量登録
この施設は地上11階建てで、柱、梁、床、壁の主要部分をすべて木材とした「純木造耐火建築物」。完成すれば純木造としては国内で最も階数が多い建物になる。部材は自社開発の耐火木造技術「オメガウッド(耐火)」を用いて製造。1階柱には3時間耐火仕様を採用する。3時間耐火のプロジェクト適用も国内初となる予定だ。
外観デザインでは特に構造フレームが目立つ。これは「剛接合仕口ユニット」という、同社が開発した木材を主体とした接合部材で実現するもの。構造上の柱と梁の接合に金物接合部材を用いず、“木組み”をベースに構成する技術だ。この適用も初。環境性能を求めた独自の先端技術がデザインに表出した。外観の意匠登録は4件に達する。
内部意匠でも木の質感を生かす意匠設計に挑んだ。建築物の意匠としてミーティングスペースや宿泊室など4件が登録に至った。