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建設現場への導入に向けて国内でも技術開発が進む3Dプリンター。清水建設は独自開発した繊維補強モルタルでプリントした埋設型枠を実用化して、高さ約4m、直径2m超の柱を8日間で施工した。
3Dプリンターの実用化を目指して、日本国内でも様々な企業が技術開発に取り組んでいる。清水建設もそのうちの1社だ。同社は2020年7月、同社技術研究所内に「コンクリートDXラボ」を新設。21年2月には、同社が開発・設計・施工する「(仮称)豊洲六丁目4-2・3街区プロジェクト」で計画している交通広場のデッキを支える4本の柱に、3Dプリンターで製作した埋設型枠を使用したと発表した〔写真1〕。
柱は円状の底部から頂部に向かってねじれながら花びら状に広がる特殊な形状で、高さ4.2m、底部の直径2.2m、頂部の直径2.7m〔図1〕。柱の埋設型枠は水平方向に3分割、垂直方向に2分割し、6ピースに分けてコンクリートDXラボで製作。初めての現場導入であることから、プレキャストコンクリート(PCa)版の製作工程に倣って、4週間の養生期間を確保して建設現場に搬入した。
埋設型枠は、コンクリートを打設した際の側圧で型枠が開かないように単管パイプなどで固定。その後、内部に鉄筋かごを設置し、生コンを打設した。型枠設置から生コン打設までの一連の作業を1段ずつ実施して、1本の柱を約8日で施工した。埋設型枠は、そのまま柱の仕上げとして用いる予定だ。