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會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)は、デジタル技術の実装や脱炭素への対応など先端技術を次々に導入して注目を集める。自己治癒コンクリートと3Dプリンターの実用化に取り組む2つの生産現場をリポートする。

 差し出された2つのシャーレにはオレンジ色の粉体が入っている。一方がポリ乳酸、もう一方がポリ乳酸とそれを餌としてコンクリートのひび割れを塞いでしまうバクテリアを混ぜた自己治癒化材料「バジリスク」だ〔写真1〕。會澤高圧コンクリートが、世界で初めて量産技術を確立し、2020年11月に生産を開始した。我々が訪れた札幌工場では、年間70万m3相当のコンクリートに対応するバジリスクを生産する。

〔写真1〕バクテリアとポリ乳酸の粉末
シャーレにある粉末がバジリスクの原料だ。左がポリ乳酸で、右がバクテリアとポリ乳酸を混ぜたバジリスクだ(写真:船戸 俊一)
シャーレにある粉末がバジリスクの原料だ。左がポリ乳酸で、右がバクテリアとポリ乳酸を混ぜたバジリスクだ(写真:船戸 俊一)
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バクテリアは、写真のような容器に入れて、温湿度を調整した貯蔵庫に休眠状態で保管している(写真:船戸 俊一)
バクテリアは、写真のような容器に入れて、温湿度を調整した貯蔵庫に休眠状態で保管している(写真:船戸 俊一)
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 バジリスクは、クラックなどの損傷部分に酸素と水が浸入すると、コンクリート内で休眠するバクテリアが活動を始め、代謝物の炭酸カルシウムを排出して損傷部を塞ぐ「自己治癒」機能を発揮する〔図1〕。

〔図1〕水と酸素が入るとバクテリアが活動を開始
〔図1〕水と酸素が入るとバクテリアが活動を開始
コンクリートが損傷すると、クラックから水と酸素が入りバクテリアが活動を始める。代謝物として炭酸カルシウムを排出し、隙間が埋まると再び休眠状態になる。ポリ乳酸はコンクリート内でバクテリアの餌となる乳酸カルシウムに変化する(資料:會澤高圧コンクリート)
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