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三菱商事は北米や英国の脱炭素コンクリート技術のスタートアップ3社への資本参画・協業を積極的に進めている。各社の技術や知見を集約し、CO2固定量や事業規模を最大化する「グリーンコンクリート構想」を打ち出した。

 三菱商事は2020年度に、CO2再利用コンクリート技術を有する北米、英国の企業3社との協業を一気に推し進めた。生コンや骨材などの製造に関する脱炭素技術を組み合わせ、CO2固定量の最大化と事業規模の最大化を図る「グリーンコンクリート構想」を掲げる。

 三菱商事は、複数のビジネスユニットを横断するCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)タスクフォースを立ち上げ、総合商社の強みを生かし、複数の産業をまたぐCO2循環利用の事業化を進めている。特にコンクリート事業は、CCUS技術の成熟度が高く、国内外でCO2再利用コンクリートの商業化や普及拡大を狙うスタートアップ企業が増えている。

300以上の工場に導入実績

 21年1月に三菱商事が資本参画したカナダのカーボンキュアは、生コン製造時に液化CO2を吹き付け、炭酸カルシウムを生コン内に生成する。その反応促進や強度向上を実現する技術を持つ〔図1〕。工場に二酸化炭素のタンクと注入設備を設置すれば利用可能で、すでに北米で300以上の工場が導入している〔写真1〕。

〔図1〕セメント中のカルシウムとCO2を反応させるカナダのカーボンキュア
〔図1〕セメント中のカルシウムとCO<sub>2</sub>を反応させるカナダのカーボンキュア
CO2は水と反応してCO32-(炭酸イオン)を生成。セメントの水和反応の進行とともに、カルシウムと結合しコンクリート内にCaCO3(炭酸カルシルム)を形成し、強度も向上する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔写真1〕生コン工場でCO2を注入
〔写真1〕生コン工場でCO<sub>2</sub>を注入
必要な設備はCO2のタンクと、生コン練り混ぜ時にCO2を注入する装置だ。イニシャルコストはセメント量削減で回収可能なので、北米の300以上のコンクリート工場が契約している(写真:三菱商事)
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 「通常の生コンより大きな強度を発現するためセメント量を約5%削減できる。コンクリート1m3当たり15~20kgのCO2削減が可能だ」と三菱商事CCUSタスクフォースの滝川晃史氏は説明する。

 セメント量削減はコストダウンにつながる。またコンクリートは、強アルカリ性を示すが、吹き付けたCO2とカルシウムが反応することで、強アルカリ性が失われる。しかし、カーボンキュアの技術では、反応するカルシウムがそれほど多くないので、強アルカリ性の低下が問題ないよう配慮されている。このため、RC造の建築物をはじめ、すべてのセメント・コンクリート分野で利用可能だという。