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鹿島は、CO2排出量の収支をマイナスにする環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM」を約10年前に化学メーカーと共同開発した。その技術を応用し、新たなコンクリート開発に取り組んでいる。

 CO2-SUICOM(以下CO2スイコム)は、鹿島が開発したコンクリートを炭酸化する技術と、化学メーカーのデンカが持つCO2と反応し硬化する材料技術(γ-C2S)を掛け合わせて生まれた素材だ。コンクリート2次部材を高濃度CO2のなかで養生することで、コンクリートにCO2を固定し、カーボンマイナスを実現する〔図1〕。実プロジェクトへの採用実績もあり、脱炭素に取り組む技術者の間で知られた技術だ〔写真1〕。

〔図1〕CO2固定で収支マイナスに
〔図1〕CO<sub>2</sub>固定で収支マイナスに
CO2-SUICOMの代表的な調合は、セメント30%、高炉スラグ(セメント代替)40%、CO2と反応し硬化するγ-C2S(セメント代替)30%。それぞれのマテリアルが計109kg/m3のCO2を固定化。セメント量削減で197kg/m3のCO2を削減し、カーボンマイナスを達成した(資料:鹿島)
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〔写真1〕CO2-SUICOMをマンションのバルコニーに採用
(写真:鹿島、エスエス・島尾 望)
(写真:鹿島、エスエス・島尾 望)
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Brillia ist 中野セントラルパーク(2012年竣工)のバルコニー天井部分の約375m<sup>2</sup>に、CO<sub>2</sub>スイコムの2次部材(3985×1305×40mm)が採用された(写真:鹿島、エスエス・島尾 望)
Brillia ist 中野セントラルパーク(2012年竣工)のバルコニー天井部分の約375m2に、CO2スイコムの2次部材(3985×1305×40mm)が採用された(写真:鹿島、エスエス・島尾 望)
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 「もともとは高耐久コンクリートの開発として始まり、2008年ごろの環境問題の高まりから、よりCO2固定量を増やす方向にかじを切った」と同社技術研究所土木材料グループ主任研究員の取違剛氏は説明する。

 特殊混和材と独自の炭酸化養生で表面を緻密化した、鹿島の長寿命コンクリート「EIEN」の要素技術がCO2スイコムの開発に生かされた。課題は中性化が早いこととコストだ。その解決が難しく、一時は開発規模を縮小したが、20年からの政府のカーボンニュートラルに向けた取り組みの中で改めて注目を集めた。

三菱商事や中国電力と協力

 20年には、炭酸化養生のノウハウを応用した新たなプロジェクトが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業に採択された。テーマは「CO2有効利用コンクリートの研究開発」。鹿島と中国電力、三菱商事のチームで取り組む。2次部材の炭酸化養生の知見を生かし、現場打設での炭酸化や、CO2スイコムでは難しかったRC造に適用した際の品質を確保する技術開発などの研究が始まった。