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2022年、日本建築学会のJASS5が10年ぶりに大改定される。低炭素等級や資源循環等級が盛り込まれるなど、カーボンニュートラルや地球温暖化対策に取り組む社会の動きに対応する。改定のポイントを見ていく。
設計図書に引用され、施工の目標性能として参考にされる日本建築学会のJASS5(建築工事標準仕様書の鉄筋コンクリート工事)。2022年版の刊行に向けて20年10月にはパブリックコメントを実施した。これによると、低炭素等級や資源循環等級など、新たな等級が盛り込まれている。
JASS5改定小委員会の主査を務める東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の野口貴文教授は、「深刻化する地球環境問題への対応を踏まえた内容となっている」という。
低炭素等級は、建物が竣工するまでに排出されるCO2量を評価する。特に影響の大きいセメントを想定し、ポルトランドセメントの使用量が少ないほど等級が高くなる〔図1〕。
資源循環等級は、産業副産物や建設廃棄物の削減を図るもの。パブリックコメントの案を見直しており、そのイメージを示した〔図2〕。セメント、骨材、練り混ぜ水の項目ごとに、構成材料や混合率を示し、重み付けした点数(ポイント)を付ける。この合算値で等級を決める案が検討されている。「スラッジのように、使っても品質面で大きな問題が生じないが、なかなか使われない材料がきちんと評価されるように仕組みを考えている」(野口教授)