
まちづくり仕組み図鑑
仕事を呼び込む「まちぐらし」のススメ
目次
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職住の“お試し”で空き家活用
空き家・空き店舗の活用を図る合同会社「ミサキステイル」が神奈川県三浦市三崎で立ち上がった。自治体の支援を受けずに、お試しでの居住や創業の支援を行い、朝食で地域住民も集う場をつくった。多様な「空き」をニーズに応じて変容させる新しいリノベーションで利用者を増やしている。
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マルシェは地域ビジネスの好機
コロナ禍が長期化し、ビジネスの場が地域や住宅へと大きくシフトしている。東京の郊外でDIYショップを開く会社は、地域連携の一環として駐車場でマルシェ(市場)を開催。会社の認知度が向上し、住宅の改修工事の受注につながるなど、波及効果は大きい。
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古民家再生で地域経済に循環
空き家・空き店舗がリノベーションされても、運営がうまくいかないと元の状態に戻ってしまう──。宮崎県日南市の飫肥(おび)で設計事務所を構える鬼束準三氏は、地元の古民家を買い上げて宿泊施設に再生。運営者としてエリア内のつながりを創出して、地域経済の循環を生み出すことに挑む。
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アート活動が中心市街地の活力
八戸市では中心市街地活性化のため、ポータルミュージアムや屋根付き広場などが建てられた。それら施設では、地域住民による活性組織「まちぐみ」が様々なアート活動でまちを盛り上げている。建築をまちぐるみで使いこなす彼らの試みは、今後の公共空間を変えていくものとなろう。
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都市農園が新たな付加価値生む
有効利用されていない都市部の農地は多い。最近は、そこでのコミュニケーションを通して、福祉事業者や地域との連携、副業としてなど、農業生産にとどまらない価値が生まれている。空き家、空き地対策や都市防災などにもつながる農地活用の可能性をみていく。
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店舗の継業で建築再生
注目を集める宮崎県日南市の油津商店街の空き店舗再生。その立役者の1人が木藤亮太氏だ。現在、木藤氏は、油津の経験を糧に、福岡県那珂川市に戻ってまちづくりに取り組む。同市で再生した「喫茶キャプテン」の事例からは、今後の建築再生に欠かせない方法論が見えてくる。
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公園管理と保育園運営を連携
「企業主導型保育事業」は、近隣に影響の少ない小規模施設として開設できるため、企業と地域のニーズを踏まえた柔軟な保育を提供できる場として期待されている。同事業を活用した「いふくまち保育園」は、隣接する公園の管理と連携してまちづくりも図る。
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曜日限定カフェで人・仕事を発掘
滝上(たきのうえ)町出身の姉妹、扇みなみ氏と井上愛美氏がUターンして起業したCasochi(カソチ)合同会社。人口約2500人の小さな町で、過疎地ならではの暮らしの魅力を再評価しようと試みる。拠点となる火・水曜営業のカフェ「KARSUI(カースイ)」は人を集め、仕事を掘り起こす場となっている。
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建築家と不動産、パン屋が連携
「壊されていく函館の古い建物を残したい」と、立ち上がった地元の若手3人。建築設計をはじめ、三者三様の専門性を生かしながら同じ組織として連携することで、移住の支援や古民家再生・リノベーションなどを通し、数々の「まちぐらし」を実現している。
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銭湯活用を機に建物再生の輪
山形県が本拠で木造建築の設計・施工に実績のあるヤマムラで建物再生室を立ち上げた中村出氏。建築の保存修復を学んだ東京に居を構えて、台東区下谷で明治期創業の銭湯の活用に臨んだ。建物再生への思いがつながりの連鎖を生み出し、心強いまちづくりパートナーに出会う結果になった。
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観光客と住民を引き寄せる
スタジオ伝伝の藤沢百合氏は岐阜県に移住し、現地事務所とゲストハウスを開いた。この2拠点に住民や観光客が気軽に訪れる場をつくることで、出会いや持続的な関係を生み出す。日常的な清掃など地域活動にも積極的な藤沢氏の元には、新たな仕事が舞い込む。
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駄菓子屋併設でデザイン業拡大
不動産主導の意図的なまちづくりから、空き家などを活⽤した偶発が連鎖するセレンディピティなまちづくりへ舵(かじ)を切れば、失敗の少ない持続可能なビジネスが可能になる──。そんな観点から、まちづくりの最新事例のビジネスモデルや⼈的ネットワークを読み解く。