空き家・空き店舗の活用を図る合同会社「ミサキステイル」が神奈川県三浦市三崎で立ち上がった。自治体の支援を受けずに、お試しでの居住や創業の支援を行い、朝食で地域住民も集う場をつくった。多様な「空き」をニーズに応じて変容させる新しいリノベーションで利用者を増やしている。
神奈川県三浦市では1990年代に5万4000人だった人口が2021年には約4万1000人に減少。今後も同様の減少率で人口は減っていく見込みだ。空き家の数も拡大している。
ミサキステイルは18年に設立された合同会社だ〔写真1〕。「みうら暮らしの入口」として移住や創業、空き家活用などの相談を受け、支援する。STAYLE(ステイル)という名称は、「様式」を意味するSTYLEと「滞在」を意味するSTAYとを掛け合わせた造語で「新しい滞在の在り方を提案する」という思いが込められている。
ミサキステイルの特徴は、要望を聞いて長く住み続けられるための支援を行い、そのプロセスもサポートすること。お試し居住の「トライアルステイ」とお試し店舗の「トライアルキッチン」を用意。それらのトライアルから持続的な暮らしや店舗開業へ移行するため、個々の状況と予算に応じて改修の企画や提案を行うとともに、改修工事も支援する〔写真2〕。
改修した建物を売るのではなく、個々のステイルが実現するように支援し続ける。移住者はお試し用の部屋に引っ越した後も、「朝めしあるべ」に通うことでミサキステイルに気軽にコンタクトを取ることができる。