スタジオ伝伝の藤沢百合氏は岐阜県に移住し、現地事務所とゲストハウスを開いた。この2拠点に住民や観光客が気軽に訪れる場をつくることで、出会いや持続的な関係を生み出す。日常的な清掃など地域活動にも積極的な藤沢氏の元には、新たな仕事が舞い込む。
岐阜県の郡上八幡で建築設計事務所、スタジオ伝伝を営む藤沢百合氏。ブルースタジオ(東京都中央区)でリノベーションのノウハウを習得して東京で独立。空き家再生を進める郡上八幡産業振興公社のチームまちやに参加するため、2015年に郡上八幡に移住した。
東京に設計事務所を残しつつ、17年に郡上八幡でサテライトスタジオを開設。自身の事務所でリノベーションを中心に手掛けている。郡上町家の暮らしから着想した東京の賃貸アパート「欅の音terrace」(つばめ舎建築設計との共同設計)でグッドデザイン賞ベスト100などを受賞した。
20年にゲストハウス「Art & Hotel木ノ離(キノリ)」〔写真1〕を開業し、設計と並行して事業を手掛ける。近居敷地に設計と事業の場を据え、すてきな偶然を発見したり面白さを膨らませたりするセレンディピティな仕掛けをつくり、まちぐらしの場とした例だ。
