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山形県が本拠で木造建築の設計・施工に実績のあるヤマムラで建物再生室を立ち上げた中村出氏。建築の保存修復を学んだ東京に居を構えて、台東区下谷で明治期創業の銭湯の活用に臨んだ。建物再生への思いがつながりの連鎖を生み出し、心強いまちづくりパートナーに出会う結果になった。

 銭湯をリノベーションし、地域の人々のために運営を続ける「快哉湯(かいさいゆ)」という施設が、東京都台東区下谷にある。明治末期に創業し、昭和初期に再建したという建物を用い、銭湯の大空間をそのまま生かしている。

 再生事業は、木造建築を得意とする建設会社のヤマムラ(山形県新庄市)が担った。旧浴室をヤマムラのサテライトオフィス、旧脱衣室をカフェとして計画。同社の改修設計と施工で2019年6月に竣工した〔写真12〕。

〔写真1〕旧浴室をワークスペースに
〔写真1〕旧浴室をワークスペースに
銭湯だった快哉湯の旧浴室。職人技が発揮されている富士山のペンキ絵、浴槽のタイル、建具、仕上げ、そして7m以上ある天井高など往時のしつらえをそのまま生かした。中央にワークスペース、両側に個室(執務スペース)を設け、個室は耐震壁の役割も兼ねている(写真:佐藤 将之、馬場 義徳、安富 啓)
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〔写真2〕銭湯時代の姿で出迎える
〔写真2〕銭湯時代の姿で出迎える
地域の風景として根付いた外観には手を加えていない。今回、擁壁の高さを下げ、庭の緑が街並みに貢献できるようにした(写真:佐藤 将之、馬場 義徳、安富 啓)
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玄関部分。両脇の下駄箱や正面の傘入れも銭湯時代のままだ。地域の人々にとっては昔と変わらない懐かしい空間が出迎えてくれる(写真:佐藤 将之、馬場 義徳、安富 啓)
玄関部分。両脇の下駄箱や正面の傘入れも銭湯時代のままだ。地域の人々にとっては昔と変わらない懐かしい空間が出迎えてくれる(写真:佐藤 将之、馬場 義徳、安富 啓)
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中村 出氏 ヤマムラ取締役・建物再生室長
中村 出氏 ヤマムラ取締役・建物再生室長
なかむら いずる:1984年山形県新庄市生まれ。工学院大学大学院建築・都市デザイン学科後藤治研究室(建築保存修復学)修了後、アトリエ設計事務所を経て、ヤマムラに入社。社内に建物再生室を立ち上げ、建物再生ノウハウの確立に力を入れている(写真:佐藤 将之、馬場 義徳、安富 啓)
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