注目を集める宮崎県日南市の油津商店街の空き店舗再生。その立役者の1人が木藤亮太氏だ。現在、木藤氏は、油津の経験を糧に、福岡県那珂川市に戻ってまちづくりに取り組む。同市で再生した「喫茶キャプテン」の事例からは、今後の建築再生に欠かせない方法論が見えてくる。
木藤亮太氏は、宮崎県日南市の油津商店街の空き店舗再生に尽力した後、2017年4月に自らのルーツがある福岡県那珂川市へ戻り、廃業の危機に直面した「喫茶キャプテン」の再生を果たした〔写真1〕。
空き店舗の再生に取り組んだ油津商店街は、かつてまぐろ漁業で栄えた油津港のある油津地区の中心市街地に位置する。当時は隆盛を極めたが、産業構造の変化や住民の高齢化に伴いシャッター通りと化した。市は13年に同商店街の活性化を担う人材を全国公募。333人の中から選ばれたのが木藤氏だった。
木藤氏は14年にまちづくり会社、油津応援団を共同設立し、4年間で29店舗を再生した。この「油津メソッド」とも呼ばれる手法をベースとした那珂川での「喫茶キャプテン」の再生事例は、セレンディピティ(幸運な出会い)を利用し、建築再生ビジネスを成功に導く好例だ。以下、その手法を見ていこう。
