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竹中工務店は2018年、全社にプロダクト部を設置。若手施工管理者が施工図を理解する能力の向上を図っている。BIMが現場に浸透するなか、配属現場に即した研修プログラムで、現場のBIMマネジャー役も生まれている。

 プロダクト部で施工図やBIMを学ばせてから、現場に配属してほしい──。作業所長からはそんな要望が増えている。「教育を始めた頃は、『大切な時間なのだから私の元にすぐ異動させてほしい』と否定的な所長も多く、説得するのに苦労した」

 こう話すのは、竹中工務店BIM推進室長で、生産本部プロダクト部長も務める鳥澤進一氏だ。同社は2018年3月、全社にプロダクト部を設置し、施工図をしっかりと理解できる若手社員の育成を始めた。

 同社に限らず建設会社では、協力会社に施工図を頼る場合が多い。不具合や工期の遅延などは施工図の不備に起因することが多く、技術の伝承からも、施工図に関する知識の向上が課題となっていた。これは同部の1つのミッションで、併せて、設計段階での施工情報を反映したつくり込み、BIM活用などを担う。

後半4カ月で配属現場を先取り

 ローテーション教育と呼ぶ通り、次の現場が着工するまでのタイミングにはまるよう調整して、6カ月間で施工図について習得する。東京本店で2001年から始めた教育を、18年に全社展開した格好だ。

 「対象者は入社3~10年の若手。管理業務が多忙で、施工図を見たことのない社員もいる。1、2カ所、現場を経験してからローテーションで学んでもらう」と、同社東京本店プロダクト部長の岩崎和義氏は話す。

 カリキュラムは、生産本部の鳥澤部長や東京本店の岩崎部長らが中心となって、東西で企業文化が異なる社内に、できるだけ共通した内容で展開できるよう考えたものだ。「当初は施工図を理解するためだったが、BIMが自然と入ってきて欠かせないものとなっている」(鳥澤部長)

 6カ月の教育は最初の2カ月と、その後の4カ月に分かれる。前半は基礎教育で、躯体図の演習のほか、BIMの基礎から応用まで学ぶ。後半は、次に配属される現場の躯体図を作成するとともに、躯体などのBIMモデルを作成する。教育と言うより、フロントローディングによる施工準備と言ったほうがいい〔写真1図1〕。

(写真:日経アーキテクチュア、資料:竹中工務店)
(写真:日経アーキテクチュア、資料:竹中工務店)
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〔写真1〕東西で企業文化の違う社内に統一メニュー
竹中工務店BIM推進室長で、生産本部プロダクト部長も務める鳥澤進一氏(右手)と東京本店プロダクト部長の岩崎和義氏。全社のローテーション教育のカリキュラムを中心となって詰めた
〔図1〕BIMをツールに施工図の詳細を学ぶ
ローテーション教育の標準的なプログラム。自ら手を動かして施工図やBIMについて学んだ後、次の配属現場で使うソフトも踏まえ、最適化したメニューで施工の準備を進める