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2階建て以下の木造住宅を特別扱いする「壁量設計」が時代に合わなくなっている。こう警鐘を鳴らすのは大橋好光・東京都市大学名誉教授だ。この連載では大橋氏が壁量設計で見落としがちな構造計算の要点を解説する。

熊本地震の被災地。益城町内を貫く県道28号から南に向かって、倒壊した建物群を見る。熊本地震では古い住宅だけでなく、比較的新しい住宅も倒壊した(写真:日経アーキテクチュア)
熊本地震の被災地。益城町内を貫く県道28号から南に向かって、倒壊した建物群を見る。熊本地震では古い住宅だけでなく、比較的新しい住宅も倒壊した(写真:日経アーキテクチュア)
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 2016年4月の熊本地震では、震度6強以上が4回、うち震度7を2回記録した。建築基準法において「ごくまれに発生する」と想定する「大地震」が、何度も襲来したのだ。にもかかわらず、日本建築学会が行った悉皆(しっかい)調査から、国土交通省は、2000年以降に建てられた木造住宅の被害が小さいと結論付けた。現代の木造戸建て住宅は、総体的に構造性能がかなり上がっているということだ。一方、上の写真のように完全に倒壊してしまった建物もある。建物の性能は、同じ法律の下で建てられていても、差がありそうだ。

 木造建築については、様々な法律や基準があり、求める耐震性能には差が生じている。それを示すため試算を行った。その結果、建基法の壁量設計で求められる壁量は、住宅性能表示制度の耐震等級1相当の3/4程度しかないことが分かった〔図1〕。

〔図1〕壁量設計は耐震等級1相当よりも壁量が少ない
〔図1〕壁量設計は耐震等級1相当よりも壁量が少ない
建築基準法の壁量設計と性能表示制度の耐震等級1相当を比較した試算の結果。壁量設計では性能表示制度の3/4程度の壁量しか確保できないことが分かった(資料:大橋好光)
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