構造計算では部材強度のばらつきが少ない日本農林規格(JAS)の認定材料を使うのが有利だ。ところが、製材は「無等級材」が使われることが多くなっている。無等級材の問題点と、使用する上での注意点を解説する。
木造住宅で、しばしば使われる材料に「無等級材」がある。無等級材とは「日本農林規格(JAS)に定められていない木材」のことで、品質管理されていない材料ということになる。2000年建設省告示1452号で強度が与えられているため、構造計算でも用いられている。その告示の値は、実は「製材の旧JASひき角類1等」の数値と同じである。すなわち、それと同等の品質管理をしないと、この強度を担保できない〔図1〕。特に「節」は強度に決定的に影響があるので注意が必要だ。
〔図1〕無等級材を使う際の注意点
無等級材の問題点を読者に理解していただくため、今回は木質系材料の強度について解説する。
許容応力度計算は、外力によって建物の各部材に生じている応力度を求め、その材料の許容応力度を超えていないことを確認する設計法である。計算には、使用する材料の許容応力度が必要となる。
以前は建築基準法施行令でその許容応力度が直接に与えられていたが、現在は「基準強度(F)」が示されており、それに係数を乗じて短期や長期の許容応力度を求める方法に改められている。冒頭で紹介した00年建設省告示1452号に示されている強度とは、基準強度のことだ。
基準強度とは、木材の場合、材料の破壊強度の下限値のことである。基準強度は、実物大で破壊試験を行い、その結果を正規分布としたときの5%下限値といわれている。