スーパー台風や巨大地震の際、壁量設計では耐力不足が生じる可能性がある。許容応力度計算なら、個々の建物に応じて対策が可能だ。連載で用いる検討プランの住宅を例に、風圧力や地震力の求め方を解説する。(日経アーキテクチュア)
壁量設計において、台風など強風に対する耐力壁の必要量は、基本的に50cm/m2である。この値は、風を受ける見付け面積当たりなので、X方向とY方向で必要な耐力壁の量は異なっている。
50cm/m2という値は、許容応力度計算した場合とどのくらい違ってくるのか。連載で構造計算する検討プランの住宅のY方向(見付け面積の大きい方)について、風に対する必要耐力を求め、壁率に変換して比較を試みた〔図1〕。壁率とは、壁倍率1.0の耐力壁が1m2当たり必要な長さだ。
許容応力度計算では、風に対する必要耐力は、基準風速(V0)や地表面粗度区分などから求める。地表面粗度区分とは、地表面に建物や木などの障害物が多いほど風速が低減されることを考慮した区分だ。図1によると、通常の市街地(区分III)でも基準風速が32m/秒以上では構造計算する方が多く必要になった。
連載第1回で壁量設計では地震力が不足する可能性があることを示したが、風圧力の計算でも壁量設計に課題があることが分かった。このように許容応力度計算では個々の建物の特徴を踏まえた設計が可能になる。第3回では、風圧力や地震力を中心に許容応力度計算に用いる荷重や外力について解説していく。