耐力壁の配置バランスが悪いと生じるねじれ。これが原因で住宅が倒壊することもある。壁量設計と許容応力度計算とでねじれ対策にどのような違いがあるかを確認しながら、精度の高い鉛直構面の検証方法を解説する。(日経アーキテクチュア)
木造住宅のねじれも、長く問題が指摘されながら、なかなかルールが定められなかった項目の1つである。2000年に施行された改正建築基準法施行令まで、法律は、耐力壁を「釣り合いよく入れる」という定性的な記述にとどまっており、実質的にはまったく野放しだった。そのため、上の写真のように、ねじれて倒壊するような建物も建てられていた。
1995年の阪神大震災で、この問題が大きく取り上げられたことから、2000年の施行では、ねじれを生じさせないための、耐力壁配置の検定方法が作成された。四分割法と呼ばれる方法である。建築基準法で詳細な構造計算が義務付けられていない4号建築物の場合、原則的に、この方法によることとされた。
重心と剛心がずれるとねじれる
ねじれは、重心と剛心がずれることによって生じる〔図1〕。重心とは、建物の重さの中心のことで、建物が揺れるときの力の中心のことである。一方、剛心は、壁配置の抵抗する側の力の中心のことである。
重心と剛心が一致すれば、建物はねじれないが、図のようにずれると、破線で描いたように建物はねじれた変形になる。これが大きくなると冒頭の写真のように倒壊することになる。
前述のように、木造住宅のねじれ対策は、2000年の四分割法導入によって必須になった。
四分割法は、建物の平面を短冊状に4つに分割して、左右の端部(「側端部」と呼ぶ)で必要な壁量を満足しているかを確認するものである〔図2〕。この割合を「壁率」と呼ぶ。さらに、左右の側端部の壁率のうち、小さい壁率を大きい壁率で除した値を壁率比と呼ぶ。四分割法の目安は、壁率比0.5以上が適合である。