梁の断面検定では、曲げやせん断といった強度を確保し、たわみが許容値以下に収まっているかを確認する。その際、部材の欠き込みや梁上耐力壁の影響を確認するには、許容応力度計算が必要になる。(日経アーキテクチュア)
柱・梁から成る木造軸組み構法は、「梁で荷重を受け、柱に伝える構造」である。横架材は架構を成り立たせる最も重要な部材だ。その横架材に設けられた「欠き込み」は、横架材の断面性能を著しく損なうケースがある。例えば、上の写真のように直上に柱があり、両側から小梁がかかると、梁の側面と上面に欠き込みを設けることになる。
梁の断面欠損について建築基準法関連の仕様規定では、施行令44条に「はり、けたその他の横架材には、その中央部付近の下側に耐力上支障のある欠き込みをしてはならない」とあるだけだ。断面の決定は設計者や施工者に任されている。
これに対して構造計算では、断面欠損などを考慮して、必要な強度を確保し、かつ、たわみが許容値以下に収まっているかを詳細に計算する。
現代構法では、伝統的な架構ではなかったような大きな欠き込みが行われている。伝統的な架構では、桁の上に梁を載せる「渡りあご」などが原則で、大きな断面欠損が生じないように工夫してきた。ところが現在の軸組み構法は、横架材を「上面合わせ」としているので、断面欠損が大きい。現在のつくり方のままで「木造に金物はいらない」と主張するのはまちがっている。金物を使いたくない場合には、昔の納まりに戻らなければならない。