公共建築の設計・施工者の選定で活用が進むプロポーザル方式。大阪府岸和田市では、外部委員が選定プロセスに異議を唱え大量辞任した。議会も市の対応に反発、計画に「待った」をかけた。炎上は防げなかったのか。
賛成3、反対20──。岸和田市議会は2021年3月4日、新庁舎の設計・施工者に選ばれた梓設計・隈研吾建築都市設計事務所・大成建設・矢野建設JV(共同企業体)との工事請負契約締結に関する議案を否決した〔写真1〕。デザインビルド(設計・施工一括発注)方式を採用した事業費約130億円のビッグプロジェクトはこの瞬間、暗礁に乗り上げた。
岸和田市が設計・施工者の選定に向けて動き始めたのは、1年ほど前のこと。20年4月、市は5人の外部委員に堤勇二副市長を加えた計6人による「岸和田市新庁舎設計及び施工事業者選定委員会」を設置した。