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設計契約の途中解除の後始末は自治体にしてもやっかいだ。埼玉県桶川市では、契約解除に伴い市が松田平田設計に支払った約700万円を巡り、約10年も住民訴訟が続いた。経緯を裁判資料などから読み解く。

 限られた用地を最大限活用し、1階ピロティーを駐車場スペースとして2018年3月に完成した地上5階建ての桶川市庁舎。真新しい現在の姿からは想像もつかないが、旧庁舎跡地を用いた建て替え事業は、苦難の連続だった〔写真1〕。

〔写真1〕2018年に完成したばかりの新庁舎
〔写真1〕2018年に完成したばかりの新庁舎
桶川市が松田平田設計との契約を解除した後、改めて設計者を選定して2018年3月に完成した桶川市庁舎(写真:池谷 和浩)
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庁舎内に展示された模型。住宅が立て込んだ立地でぎりぎりの用地取得を進めた結果、住宅とせめぎ合うような格好となった。設計者は日本設計。施工者は大成建設だ(写真:池谷 和浩)
庁舎内に展示された模型。住宅が立て込んだ立地でぎりぎりの用地取得を進めた結果、住宅とせめぎ合うような格好となった。設計者は日本設計。施工者は大成建設だ(写真:池谷 和浩)
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 完成から約13年前のことだ。「将来に禍根を残さぬよう、慎重な取り組みを求める」。築50年超となっていた旧庁舎の建て替えが決まり、基本設計が進むなか、市議会はこう決議して執行部に注文を付けた。隣地を借りて用地拡張する方針で計画が進んでいたことに対し、権利関係が不透明になる恐れがあるとして、異議を唱えたものだ。

 この決議より少し前、市は06年7月に公募型プロポーザル方式で松田平田設計を選定し、基本設計の業務委託契約を締結していた。同社が基本設計に着手し、執務スペースの適正面積を検討するため、市の各部局へ聞き取り調査などを進めているさなかに決議はなされた。

 決議の影響は大きかった。約半年後の07年2月、市は建て替えをいったん断念し、改めて用地選定からやり直すことを決定。松田平田設計へ契約解除を通知した。