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長野県茅野市の茅野市民館がSNS(交流サイト)で炎上した。古谷誠章氏率いるNASCA(ナスカ)の代表作で、日本建築学会賞作品賞やBCS賞などを総ナメにした有名建築は、どうしてネットで批判を浴びたのか。

 「設計した建物がこんなかたちで話題になるのは初めてのことで、とても驚いた」。ナスカ代表で早稲田大学教授の古谷誠章氏は、茅野市民館の図書室が2021年2月にSNSで“炎上”した件についてこう振り返る。

 きっかけは「(前略)書棚には、紫外線により赤色が褪色(たいしょく)し、青い表紙になった書籍が並ぶ」というTwitter(ツイッター)への投稿だ。ガラス張りの図書室と、青くなった本の写真を添えた投稿は反響を呼び、「いいね」は7万件を突破。「色あせた本がかわいそう」「図書館にガラス張りなど考えられない」などと批判の声が上がった〔写真1〕。

〔写真1〕開放的な空間が市民館の特徴
〔写真1〕開放的な空間が市民館の特徴
茅野市民館の標高は約800m。紫外線の強さを示すUVインデックスは標高が1000m高くなると10%ほど増加するとされ、平地に比べて日射の影響を受けやすい環境だ(写真:茅野市民館)
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 朝日新聞やテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」も騒動を取り上げ、幅広い世代が知ることとなった。

 実は市民館にとって、日射や本の日焼けは「古くて新しい問題」だ。古谷氏によると日焼けが俎上(そじょう)に載ったのは竣工2、3年後だった。ガラス面にはもともと標準的なUVカットフィルムを張っていたが、追加でロールスクリーンを設置。その後は大きな問題もなく使われ続けてきただけに、「なぜ今になって」(古谷氏)という驚きと意外さを伴う出来事だった。