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2020年秋に一条工務店が耐水害住宅の実大実験を公開したのを皮切りに、ハウスメーカー各社が豪雨水害への対策を打ち出している。床下を密閉した仕様や2階で暮らせる間取りなど、特徴のある事例を紹介する。

 2020年9月に販売を開始した一条工務店の耐水害住宅は、8カ月間に全国で約800棟の受注を得たという。その特徴は、水害で生じる「屋内への浸水」「排水管の逆流」「屋外設備の水没」「建物にかかる浮力」という4種類の被害への対策を講じていることだ。

 同社では、水害時の状況を再現できる予約制の体験棟を全国8カ所で開設。水害対策の仕組み、ノウハウを発信している〔写真1〕。

● 一条工務店

浸水、逆流、水没、浮力の4被害を防ぐ

主な対策

  • 水が入る隙間をなくす
  • 自動で排水管を閉じて逆流を防止
  • 屋外の設備機器の架台を高所に設置
  • 水没時の家の浮上を防ぐ
〔写真1〕浸水の状況を再現する体験棟
〔写真1〕浸水の状況を再現する体験棟
全国8カ所に設けた「耐水害住宅体験棟」では、実際に家のまわりに注水。一定の水位を超えると、係留した家が浮き上がる状況も体験できる(写真:一条工務店)
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水害時を再現する体験棟も

 まず浸水対策としては、玄関ドア、樹脂サッシは壁と枠を工場で隙間なく一体化させ、水密性を高めた〔写真2〕。さらに自動車のドアパッキンを製造しているメーカーと共同で、通常品の約2倍の吸収力と追従性のある中空パッキンを開発。さらに5mm厚の強化ガラスを採用して、開口部が水位1mの水圧にも耐えられるようにした〔写真3〕。そのほか床下換気口には、浸水があると弁が浮いて自動的に蓋をするフロート弁を設置している。

〔写真2〕屋内への浸水を防ぐ高水密仕様
〔写真2〕屋内への浸水を防ぐ高水密仕様
一般的な仕様の住宅では、水位が上がると開口部の隙間から浸水し、水圧でガラスが割れてしまう(写真:一条工務店)
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同社の「耐水害住宅」では、独自の一体成型の樹脂サッシと強化ガラスを採用し、浸水を防ぐ(写真:一条工務店)
同社の「耐水害住宅」では、独自の一体成型の樹脂サッシと強化ガラスを採用し、浸水を防ぐ(写真:一条工務店)
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〔写真3〕ドアと設備を守る工夫
〔写真3〕ドアと設備を守る工夫
体験棟の周囲に注水した状態。玄関ドアに水密性の高い中空パッキンを採用しているため浸水していない(写真:一条工務店)
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架台を高くしたことで、屋外設備の水没を防ぐことができている(写真:一条工務店)
架台を高くしたことで、屋外設備の水没を防ぐことができている(写真:一条工務店)
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 下水の逆流防止には、排水管に逆流防止弁を設けた。またエアコンの室外機、外部コンセント、蓄電池などの屋外設備は基礎に直接取り付けた架台に設置し水没を防ぐ。

 水害時に屋外の水位が一定の高さを超えると、浮力によって家が浮いてしまい、流失してしまう恐れがある。そこで同社では2種類の浮力対策を開発。「スタンダードタイプ」では、水位が1mを超えると専用のダクトから床下に水を誘引し、その水をおもりとして家の浮き上がりを防止する。もう一方の「浮上タイプ」では、専用の装置で家を敷地内の四隅に係留。浮力がかかった場合、安定させた状態であえて家を浮かせ、水が引いたら元の位置に着地させる。