地場工務店の三承工業(岐阜市)は、2017年から「キャンプできる庭・住宅」をテーマに毎年、仕様を更新しながらモデルハウスを建設してきた。20年には蓄積したノウハウを盛り込んで防災住宅のブランドを立ち上げた。
2020年に三承工業が立ち上げた住宅事業の新ブランド「Living Can:リビキャン」は、「家であそぶ、家で楽しむ」をテーマにした住宅商品だ。「災害時の力」「自然界と共存する力」「助け合う力」を平時から育む仕掛けが盛り込まれている。日ごろから自宅でのアウトドア生活に親しむことで、防災意識や緊急避難時の生活スキルを高めることを目指している。
リビキャンに盛り込まれた防災仕様は、17年から同社が手掛けている「キャンプできる庭・住宅」をコンセプトとしたモデルハウスで蓄積してきたものだ〔写真1〕。この取り組みは、21年ジャパン・レジリエンス・アワード(一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催)の企業部門で最優秀賞を受賞している。
最初に建てた2017年のモデルハウスでは、庭に鉄製コンテナを設置し、食料や日用品の備蓄のほか、アウトドアグッズを収納〔写真2〕。また雨水タンクや湯や水を蓄えるエコキュートも備え、断水に備えた。さらにウッドデッキ上には覆いを架けられるようにし、庭にはテントを張るスペースを確保。被災時には近隣の3世帯程度の避難生活を可能にした。
18年のモデルハウスではデッキ下を収納に利用。さらに19年のバージョンでは、収納兼ベンチを造作。平時にはデッキ下にしまえるようにした。また屋外で調理がしやすいよう、耐火レンガのコンロも庭に据え付けている〔写真3〕。
最新の20年モデルでは、太陽光発電パネルと蓄電池を標準仕様に取り入れ、停電にも対応している。そのほかキッチン横には備蓄倉庫も兼ねたパントリーを配置。勝手口を通じて備蓄資材を取り出せるようにした。