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Q3 過去2度の木材高騰とどう違う?

 今回の木材高騰は「第3次ウッドショック」と呼ばれる。過去2度のウッドショックと異なるのは、木材の需要側に端を発している点だ。

 第1次ウッドショックが発生したのは1992年~93年。発端は環境問題だった。絶滅危惧種の動物を保護するため、米国は国有林や州有林の伐採規制を講じた。同時期にカナダでも原木の過伐調整が行われたことで、木材供給量が激減した。ただし当時は超円高基調が続いていたため、為替相場で高騰分の多くは吸収された。円高で新規国から輸入木材を仕入れることも可能だったため、国内での木材高騰は限定的だった。

3次ウッドショックは複合要因

 第2次ウッドショックは、2006年にインドネシア政府が伐採規制を急に強化したことに主因がある。東南アジアからの南洋材のなかでも丸太が高騰し、合板業界が悲鳴を上げた。日本はこれを教訓に、構造用合板の国産化を進めた経緯がある。

 第1次、第2次ともに供給側に端を発していたのに対し、第3次ウッドショックは新型コロナウイルス感染拡大を背景とした米国の住宅需要の盛り上がりが主因〔写真1〕。かつ、コンテナ不足やカナダの伐採量減少、中国とオーストラリアの関係悪化など複数の要因が絡み合う。これまでになかった「需要側からのウッドショック」という特異性が、先行きの見方を難しくさせている。

〔写真1〕米国ではDIY需要も拡大
〔写真1〕米国ではDIY需要も拡大
米国では木材を使ったDIYによる住宅の改修需要も拡大している(写真:米ホームデポ)
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Q4 ウッドショックはいつまで続く?

 主因である米国の住宅需要がいつまで続くかが鍵となる。

 日本木材輸入協会の大野裕一郎針葉樹部会長(住友林業国際流通部長)は4月に開かれた林野庁の臨時情報交換会で「米国の住宅ローンは3%前後と史上まれに見る低金利で住宅市場は好況。これを踏まえると、現在の状況は21年いっぱい続く可能性がある」との見通しを示した。

 林野庁も「供給量はすぐには戻らないと考えている」(木材産業課の高木望課長補佐)、国土交通省も「米国が自国の活発な住宅市場にわざわざ冷水を浴びせることは考えにくい」(住宅生産課木造住宅振興室の長岡達己課長補佐)と、当面は逼迫した状況が続くとの見方だ。

「暴騰の後には必ず暴落する」

 こうした読み筋の背景には、米国の住宅需要が好景気に支えられた一時的なものではないという見立てがある。低金利は背景にあるものの、投機的な需要というより、新型コロナによる在宅勤務の定着、それによる郊外戸建て住宅の需要増という価値観の変化が根本にある。

 米国では多くの企業でテレワークが常態化しており、住宅への投資が数カ月で先細るとは考えにくい。Q1で解説したように、国産材への切り替えには時間がかかるとみられ、高騰はしばらく続きそうだ。

 木材流通が専門の活木活木森ネットワークの遠藤日雄理事長は、米国などの需要変化に振り回される現状に対して危機感を抱く。「そもそもの原因は、日本が欧州材などを買い負けている点にある。時期は分からないが、暴騰の後には必ず暴落が待っている」と警戒する。