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Q1 なぜ国産材に切り替えられない?

 理由は2つある。1つは国産材の生産能力をすぐに引き上げられないこと。2020年は新型コロナウイルスによる景気低迷で国産材需要が落ち込み、森林組合などの素材生産事業者は減産を余儀なくされた。

 木材流通が専門である活木活木(いきいき)森ネットワークの遠藤日雄理事長は、「21年に入って一転して『すぐに木が欲しい』と依頼されても、継続的な需要なのかどうか生産事業者は疑心暗鬼になっている。投資をするだけの説得力に乏しく、伐採量を増やせるような段階ではない」と話す。

 林野庁によれば、日本の木材自給率は02年に19%まで低下した後、19年に38%まで持ち直した。ただし林業は高齢化や担い手不足などの課題を抱えており、この点も、すぐに伐採量を増やすのが難しい理由だ。

フル稼働でも1割増が限界

 生産能力に限界があるのは製材会社も同じだ。国産材製材最大手の協和木材(東京都江東区)のもとには、輸入材であるホワイトウッドの代替材としてスギの集成材に注文が殺到する。しかし全ての注文には応じられていない。フル稼働でも1割程度しか増産できないからだ。

 理由の2つ目は、国産材の性能にある。例えば横架材(梁)として使用する場合、たわみ性能を示すヤング係数(E)の値が輸入材と比べて低い。ベイマツはE120、レッドウッドはE105が多数を占めるのに対し、国産材のスギはE70程度だ。

Q2 価格はどの程度上がっている?

 米中の木材需要の高まりを受けて、欧州では原木の取引価格が上昇している。フィンランド天然資源研究所の調査では、2020年7月ごろから主に柱材として利用されるパイン材(通称レッドウッド)、主に梁材として使用されるスプルース材(通称ホワイトウッド)の取引価格が上昇。21年4月時点では、1年前と比較して1割程度、上昇している〔図1〕。

〔図1〕欧州の原木取引価格の推移
〔図1〕欧州の原木取引価格の推移
フィンランド天然資源研究所が公表した取引価格を銘建工業がまとめた(資料:銘建工業)
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 こうした原木価格の高騰に加えて、コンテナの世界的な不足による物流コスト急騰が追い打ちをかけている。日本海事センターによれば、物流コストの上昇が始まったのは20年11月ごろ。欧州発日本着のコンテナ運賃(40フィートコンテナ1個当たり)は、19年1月の1390ドルから21年4月には3030ドルと約2.2倍に跳ね上がっている。

 原木価格と物流コストの急上昇で、国内の木材販売店価格も高騰した。日刊木材新聞の調査によると、木造住宅で多用されるベイマツ乾燥材正角(北米からの輸入材)の21年5月の価格は10万円/m3の大台を突破。半年間で82%も上昇した。

 レッドウッド集成材平角(欧州材による国産品)は同7万円/m3(半年間で35%増)、SPF2×4(北米からの輸入材)は同10万7000円(半年間で114%増)となった。ほぼ全ての材が21年3月から急に高騰し始め、天井はいまだに見えていない。