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商社やプレカット会社との太いパイプを背景に、木材調達で有利な立場に立つ大手の住宅メーカーも、ウッドショックに耐えかねて値上げを始めた。一方で、中小規模の工務店などは苦戦を強いられている。

 2021年5月上旬、首都圏の住宅展示場を訪れた40代男性は、タマホームの営業担当者にこう告げられた。「5月契約だと、木材価格高騰の影響で1棟当たり約40万円の値上げとなる。今後さらに上昇する恐れがあるが、値上げ幅は未定だ」〔写真1

〔写真1〕展示場でもウッドショックの話題が
〔写真1〕展示場でもウッドショックの話題が
都内の住宅展示場。6月上旬に来場した夫婦は「ウッドショックがどの程度、価格に影響するか気になっている」と話す。文中の展示場とは無関係(写真:日経アーキテクチュア)
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 タマホームは日経アーキテクチュアの取材に対して、「価格の転嫁については順次対応している。40万円の値上げを提案している例も実際にある」(同社経営企画部)と値上げを認めた。

 値上げを始めたのはタマホームだけではない。積水ハウス広報室は「当社の住宅は高価格帯であり、木材がコスト全体に占める割合が小さい」としたうえで、「6月から(住宅価格に)多少の影響がある」とした。金額は非公表だが、1戸当たり数十万円程度の値上げとみられる。

 住友林業は「価格について時期を含めて見直しを検討する。同時に施工の効率化や一部の羽柄材の樹種変更などを含め、継続してコストダウンを図る」などと回答した。

「上棟が4週間遅れている」

 住宅メーカーは、木材不足による工事の遅延にも頭を悩ませている。「上棟が最大4週間程度、遅れている」。オープンハウスグループで戸建て住宅などの分譲を手がけるオープンハウス・ディベロップメント。同社建設事業部建設部の戸和寛文部長は、5月時点の状況をこう明かす。

 戸和部長が異変を感じたのは3月末だった。木材が4月以降に逼迫すると読み、4月上旬には樹種の変更を検討し始めた。

 同社の戸建て住宅は、約9割を輸入材に頼っている。標準的な設計では、柱材にホワイトウッド、土台にベイマツを使用している。

 そこで、スギやヒノキの集成材を柱や土台に使えるように設計を見直し、調達可能な樹種で対応できるようにした〔図1〕。全ての樹種が不足しているものの、その時々によって逼迫の度合いが異なるからだ。

〔図1〕プレカット会社に樹種の変更を要請
〔図1〕プレカット会社に樹種の変更を要請
オープンハウス・ディベロップメントによる樹種変更の連絡表。その時々で手に入りやすい材に変更することで遅延を防ぐ(資料:オープンハウス)
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 同社は木材をほぼ全てプレカット会社から購入しているが、以前から15社程度と契約することで調達先を分散化している。価格の安定化も目的の1つだが、「BCP(事業継続計画)の観点でも取り組んでいた」と戸和部長は話す。ウッドショック以前からサプライチェーンの多様化に手を付けていたことが奏功した。