全3341文字
PR

国による「スタジアム・アリーナ改革」の掛け声の下、その趣旨に沿う施設が全国各地に生まれつつある。公民連携から、より独立性の高い民設民営まで。幅広い市民に対応する多機能性が、スポーツ施設に求められている。

数字は記事中の写真・パースに対応。そのうち赤色はスポーツ庁「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」選定案件(地図中の青は案件がある都道府県)。稼働中の他案件も今後選ばれる可能性がある。他に構想・計画段階のアイシンアリーナが選定されている(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
数字は記事中の写真・パースに対応。そのうち赤色はスポーツ庁「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」選定案件(地図中の青は案件がある都道府県)。稼働中の他案件も今後選ばれる可能性がある。他に構想・計画段階のアイシンアリーナが選定されている(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 機能拡張の好例として現れた1つが、京都府亀岡市のサンガスタジアム by KYOCERA(❶)。2021年6月に「びばっこ保育園」を建物内に開設した。天然芝のピッチが“園庭”になる。子どもたちが広大なスタジアム内で遊ぶ様子が話題を呼んだ〔写真1〕。

 元からの計画ではなく、テナントスペースを活用したものだ。「地域コミュニティーのコアとなる施設をスタジアムに開設する事例は欧州では珍しくない。サンガスタジアムでは開業前後から、保育園以外にも柔軟に複数機能の導入を進めているので注目している」。スポーツ施設の専門家である追手門学院大学社会学部の上林功准教授はこう語る。

 新型コロナワクチンの大規模接種会場にスタジアムを用いる動きも各地に現れた。中でも神戸市は、産官学連携で機動力を発揮。5月31日にノエビアスタジアム神戸()の利用を開始し、1日5000人の接種にまで拡大する体制をつくった。

〔写真1〕保育園開設やワクチン接種など柔軟に活用

 20年完成  約2万1600人
サンガスタジアム by KYOCERA
スタジアム運営に参画するビバによる企業主導型保育園「びばっこ保育園」。物産館として用いていた約200m<sup>2</sup>のテナントスペースを改装した(写真:びばっこ保育園)
スタジアム運営に参画するビバによる企業主導型保育園「びばっこ保育園」。物産館として用いていた約200m2のテナントスペースを改装した(写真:びばっこ保育園)
[画像のクリックで拡大表示]
試合のない日はピッチを遊び場とできる(写真:びばっこ保育園)
試合のない日はピッチを遊び場とできる(写真:びばっこ保育園)
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:びばっこ保育園)
(写真:びばっこ保育園)
[画像のクリックで拡大表示]
所在地京都府亀岡市追分町
ホームチーム京都サンガF.C.
延べ面積3万5601.3m2
収容人数約2万1600人
発注者京都府
設計者日建設計(基本設計)、東畑建築事務所(敷地変更に伴う修正基本設計、実施設計)
施工者竹中工務店・公成建設・長村組JV
運営者ビバ&サンガ
開業あるいは完成年月19年12月完成
事業費あるいは工事費147億円(総工費)
※進行中の案件の各数字は「予定」、─は「未定」あるいは該当なし
 18年以降改修  約3万人
ノエビアスタジアム神戸
運営母体の楽天グループや神戸市などの連携で大規模接種会場に活用。選手ロッカールームなども用いる(写真:楽天メディカルジャパン)
運営母体の楽天グループや神戸市などの連携で大規模接種会場に活用。選手ロッカールームなども用いる(写真:楽天メディカルジャパン)
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:楽天メディカルジャパン)
(写真:楽天メディカルジャパン)
所在地神戸市兵庫区御崎町
ホームチームヴィッセル神戸(サッカー)、他
延べ面積5万8744.22m2
収容人数3万132人
発注者神戸市
設計者・施工者神戸製鋼所・大林組JV
運営者楽天ヴィッセル神戸
開業あるいは完成年月01年11月(第1次開業、03年にグランドオープン、18年4月以降に随時改修)
事業費あるいは工事費約230億円(1次・2次整備合計)
※進行中の案件の各数字は「予定」、─は「未定」あるいは該当なし