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サッカーJ1のガンバ大阪が、指定管理者として自ら運営・管理に当たる。建物は募金で建設し、地元自治体に寄贈した。民設民営の時代を先取りした形になる。利用促進を模索する中、改めてエリア激変の局面を迎える。

 最寄りの大阪モノレール万博記念公園駅の目の前が、大きく変わろうとしている。2021年5月、約17万m2の大阪府有地を整備する事業予定者が決定。1万8000人収容のアリーナを中核とし、スポーツ・文化の新たな拠点をつくる。

 府が所管する万博記念公園の活性化に向けた切り札。同じ園内に立地する「パナソニックスタジアム吹田」〔写真1〕にとっては、エリア内外から多様な客層を呼び込む好機の到来だ。

〔写真1〕試合を間近に見る一体感
〔写真1〕試合を間近に見る一体感
試合フィールド(ピッチ)と客席の距離はゴール側で10m、タッチライン側で7m。サポーターの一体感が増すよう、他は3段のところ、写真左手のホームスタンド側のみ客席を上下2段構成に近づけている(写真:日刊スポーツ/アフロ)
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 下地はある。事実上の民設民営として「稼げる施設」への志向性が高い。なおかつスタジアムの地元利用を促そうという意欲が、ガンバ大阪にも所有者の吹田市にも強い。

 「稼げる施設」への道筋は、次ページに掲げた独自の公民連携スキームが開いた。

 VIPエリアの充実が、その象徴だ。3階から5階まで3層にわたる客席フロアのうち、4階を使って2000席を配置した〔写真2〕。

〔写真2〕「稼げる施設」を目指す

スタジアム4階。ホームスタンド側を除く3方向にVIPエリアを配置し、計2000席を確保した。VIPエリアの運用で収益を上げている欧州のスタジアムにならったものだ。「稼げる施設」のカギとなる(写真:生田 将人・開業時撮影)
スタジアム4階。ホームスタンド側を除く3方向にVIPエリアを配置し、計2000席を確保した。VIPエリアの運用で収益を上げている欧州のスタジアムにならったものだ。「稼げる施設」のカギとなる(写真:生田 将人・開業時撮影)
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3階コンコース周辺。16年10月、パナソニックから実証実験の提案を受け、コンコースの柱・壁や4階VIPエリアなどにデジタルサイネージ248枚を設置。20年度に実験を終了し、設備を市に寄贈した。現在は、ガンバ大阪が、サッカーファン向けの広告利用はもちろん、イベント時の演出装置として使用する(写真:ガンバ大阪)
3階コンコース周辺。16年10月、パナソニックから実証実験の提案を受け、コンコースの柱・壁や4階VIPエリアなどにデジタルサイネージ248枚を設置。20年度に実験を終了し、設備を市に寄贈した。現在は、ガンバ大阪が、サッカーファン向けの広告利用はもちろん、イベント時の演出装置として使用する(写真:ガンバ大阪)
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 「欧州のスタジアムと同様、VIPエリアは社交場と位置付けている。観客1人当たりの単価設定が高いエリアを確保し、収益性の向上を図った」。ガンバ大阪管理部施設運営課の唐津昌美主任はこう話す。

 VIPエリアを確保できたのは、民設のたまものだ。「市が建設費を負担して口を出す建物だったら、単価の高い席を増やすのは難しかったのではないか」(吹田市都市魅力部の中臺和彦・文化スポーツ推進室主幹)