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東京五輪に向け、世界水準の馬術競技会場にリニューアル。大会終了後に緑化整備を中心とした2期工事に入る。コンパクトな最新競技施設と都民の憩いの場が同居するユニークな場所がまちなかに誕生する。

 東京都世田谷区の馬事公苑は、日本中央競馬会(JRA)が運営する馬事普及・馬術振興の拠点施設だ。もともと、結果的に中止になった1940年の東京五輪に向け、馬術選手を育成する目的で開設した。64年東京五輪で馬場馬術競技の会場に選ばれ、同競技のために施設を整備。以来、各種馬術競技大会や馬に関する数々のイベントを開催してきた。

 その馬事公苑が2015年2月、2020年東京五輪・パラリンピック競技大会(以下、東京大会)の馬術競技会場に決まった。臨海部に大規模な仮設会場を用意するプランを取りやめ、コンパクトな「まちなか」型に見直す結果になったのだ。

 「諸施設の老朽化が進み、大規模災害での対応などに心配な部分が増えてきたこと、さらに馬術競技会場として現在の世界大会の基準を満たしていないこともあり、全面的なリニューアルを決めた」。JRA馬事部参与の西尾髙弘氏はこう説明する。

 同公苑は整備工事のため、16年末に休苑。再整備計画は2段階に分かれる。1期工事では、東京大会後も残る恒設施設をJRAが整備し、大会開催に必要な仮設施設を大会組織委員会が設置する〔写真1、2〕。大会終了後に仮設部分を解体したうえで、2期工事に取りかかる。広場などの緑化整備を中心に工事を行い、都民に親しんでもらえる公園的な機能を充実させる。

〔写真1〕東京大会用に仮設客席や照明
〔写真1〕東京大会用に仮設客席や照明
東京都世田谷区のまちなか。左手前は東京大会で馬術競技会場となるメインアリーナ。正面の建物はインドアアリーナ。深い軒を出すなど各施設の外観に統一感を持たせている。東京大会の馬術競技は基本的に夜間開催のため、仮設照明を用意した(写真:安川 千秋)
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〔写真2〕メインオフィス3階にVIPラウンジ

メインオフィス棟。3階のラウンジ。東京大会では皇室を含む貴賓用の「オリンピックファミリーラウンジ」とする。天井の組子には桜の舞う様子を表現した(写真:安川 千秋)
メインオフィス棟。3階のラウンジ。東京大会では皇室を含む貴賓用の「オリンピックファミリーラウンジ」とする。天井の組子には桜の舞う様子を表現した(写真:安川 千秋)
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3階のデッキ。ここからも馬術競技を観覧できる(写真:安川 千秋)
3階のデッキ。ここからも馬術競技を観覧できる(写真:安川 千秋)
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 馬事公苑は都市計画公園の指定を受けている。既に公園としての機能を満たしている状況なので、JRAが引き続き維持管理を担いながら利用していく。このため、大会用の仮設部分を除き、今回の改修整備は全てJRAが実施する。大会後の2期工事まで含めると、総事業費は約400億円に上る。