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長年、東京都心の青山にオフィスを構えてきた隈研吾建築都市設計事務所。しかしコロナ禍を機に、地方に所員を送り込む「サテライトオフィス」計画が進行している。「木工の町」として知られる北海道東川町で何をたくらむのか。現地を同行取材した。

 旭川空港から車で約15分。旭岳などを擁する大雪山連峰の麓に、北海道東川町がある。「木工の町」として知られるこの地で、隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)のある計画が進行している。

 2021年6月末、隈研吾氏は所員の田口誉設計室長と共に、町の職員らと打ち合わせをしていた。夕方には会議室を出て、草が生い茂る建設予定地を歩きながら周囲の山並みと配置計画のバランスを念入りにチェックしていた〔写真1〕。打ち合わせは2日間に及んだ。

〔写真1〕隈事務所が北海道東川町でオフィスを設計
〔写真1〕隈事務所が北海道東川町でオフィスを設計
2021年6月末、隈研吾氏と田口誉設計室長(左手前)らが、東川町長や町職員とサテライトオフィスの建設地などを視察している様子(写真:日経アーキテクチュア)
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 東川町では役場の南西側の敷地に木造2階建て、延べ面積約148m2のオフィス棟を4棟建設し、オフィス棟をつなぐ散策路や芝生を整備する計画を進めている〔図12〕。事業費は約4億5000万円で、地方創生拠点整備交付金などを活用する予定だ。21年9月着工、22年3月の完成を目指している。

〔図1〕隈研吾氏がデザインミュージアム構想を後押し
〔図1〕隈研吾氏がデザインミュージアム構想を後押し
配置図 隈事務所が町に提案したデザインミュージアムの構想。実現が決まれば、建設予定の展示・ライブラリー棟なども隈事務所が設計する予定だ(資料:北海道東川町)
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〔図2〕地方創生拠点整備交付金を活用
〔図2〕地方創生拠点整備交付金を活用
東川町役場の南西側の敷地4棟のオフィス棟を建設する。この一角に隈事務所のサテライトオフィスが入る。総事業費は約4億5000万円。地方創生拠点整備交付金やふるさと納税の寄付金などを活用する(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
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 隈事務所は建物を設計するだけでなく、そのうちの1棟にサテライトオフィスを構え、所員を複数派遣する計画を立てている。田口設計室長が所長を務め、他に4人程度の派遣希望者を事務所内で募るという。

 東川町産業振興課の菊地伸課長は、「サテライト開設によって、事務所と町の人が触れ合う機会を設けやすくなる。町民の建築に対する知的好奇心を育むことにもつながるだろう」と期待を込める。さらに、「家具の展示施設『デザインミュージアム』の実現に協力してもらいたい。町内に隈氏が設計した建築が多くできれば、町のPRにもつながる」と続けた。