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既存建築物を適切に活用するためには、現状の建物が法適合状況にあるかどうかの把握が重要だ。遵法性調査やガイドライン調査では、具体的にどのような不適合状況の指摘をするのか。代表的な例を紹介する。(日経アーキテクチュア)

遵法性調査や国交省が定めるガイドラインに基づく調査(ガイドライン調査)でチェックする既存の図面、調査のイメージ(写真:ビューローベリタスジャパン、日経アーキテクチュア)
遵法性調査や国交省が定めるガイドラインに基づく調査(ガイドライン調査)でチェックする既存の図面、調査のイメージ(写真:ビューローベリタスジャパン、日経アーキテクチュア)
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 建物の管理者・運営者から、既存建築物の改修に関する相談を受ける設計者も多いだろう。ただし、竣工してから長時間が経過する間に、建物の使い方が建築基準法の想定を外れていることは珍しくない。確認申請を要する改修ならもちろんのこと、そうでない場合でも既存建築物の法適合状況を把握しておくことは計画の出発点になる〔図1〕。

〔図1〕建基法の想定外の使われ方も
〔図1〕建基法の想定外の使われ方も
竣工後、建築確認申請時の想定を外れた使い方をしている建物は珍しくない。必要な確認申請をせずに増築や用途変更している場合以外でも、間仕切り壁の変更や使い方などが法不適合な状況を生み出していることがある(資料:ビューローベリタスジャパン)
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 こうした際に実施するのが、法適合状況を確かめる遵法性調査やガイドライン調査だ。調査では、現況が確認申請図と1カ所異なっているだけで複数の法不適合を指摘する場合もある。そんな事例を中心に、建基法との関係を整理しながら法不適合に陥りやすいポイントを例示していこう。