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調達のポイント

  • 一般に流通する長さ4m以下、幅120mmの平角材を基本に設計
  • 長い材や断面の大きな材は町外の木材を使用

役場と公民館、図書館が一体となったこの施設は、かつて林業が盛んだった町に立つ。使用木材は材積の75%が町産のスギ材だ。町は公共施設の整備と併せて林業の復興を目指し、町産材活用の体制づくりを進めた。

南側から見た外観。耐火コアを挟んで5棟が接続する。4棟は切妻屋根が載る(写真:白鷹町)
南側から見た外観。耐火コアを挟んで5棟が接続する。4棟は切妻屋根が載る(写真:白鷹町)
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 山形県の「白鷹町まちづくり複合施設」は木造2階建て、延べ面積は4500m2超。メインエントランスを入って右手に役場、左手に図書館と公民館が続く構成だ〔写真1〕。2015年の公募型プロポーザルで選ばれた環境デザイン研究所(東京都港区)が設計を手掛け、20年に完成した。付設のエネルギー棟などを含め、全体に使ったスギ材は材積で1712m3。うち75%を町産材が占める。

〔写真1〕町内で生産可能な寸法の製材で大スパンを実現
役場の執務スペース(写真:吉田 誠)
役場の執務スペース(写真:吉田 誠)
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公民館機能の一部である大会議室。大会議室は、120×240mmの平角材を2本束ね、それを登り梁に内接させた折れ線状のアーチ構造によりスパン16.4mを実現。正面や左手に見える格子耐力壁も、町内で生産可能な製材を使って開発した(写真:吉田 誠)
公民館機能の一部である大会議室。大会議室は、120×240mmの平角材を2本束ね、それを登り梁に内接させた折れ線状のアーチ構造によりスパン16.4mを実現。正面や左手に見える格子耐力壁も、町内で生産可能な製材を使って開発した(写真:吉田 誠)
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大会議室の真下にある図書館(写真:吉田 誠)
大会議室の真下にある図書館(写真:吉田 誠)
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 白鷹町は面積の約65%が森林に覆われ、その約9割が個人所有の民有林だ。戦後に植林されたスギが大量に利用期を迎えるものの、山主の高齢化や世代交代、住民の山への関心の低下などから適切な森林整備が行われていなかった。

 そこに13年と14年、続けて豪雨災害が発生した。局地的な豪雨により山腹の土砂が崩落し、多くの立ち木が町なかに流出。原因は人工林の管理不足と考えられた。

 町はちょうど、老朽化し、東日本大震災後に耐震補強が必要と診断された庁舎と中央公民館の建て替えを計画中だった。災害を機に改めて地域資源である森林に目を向け、町産材を活用し、木造の複合施設として建て替えることを決めた。

 さらに、将来にわたって森林の多面的機能を持続させられるように「緑の循環システム」の構築を目指し、町ぐるみで体制整備に取り組んだ。その一環で、地元の建設会社や製材会社の出資により「おきたま木材乾燥センター」が設立された。それまでは町内に木材乾燥施設がなかった。