調達のポイント
- 「出し梁ユニット」などのユニークな架構で製材による大空間を実現
- 調達に時間のかかる製材を自治体が実施設計段階で先行発注
大空間がある庁舎建築の構造を、木曽産の製材だけで実現した。設計者や木材関連団体などが早くから連携して必要な木材量を詳細に算定。調達に時間がかかる製材を、木曽町は実施設計段階で先行発注した。
長野県南西部に位置する木曽町の新庁舎が2021年4月、開庁した。広さ約2600m2の平屋の庁舎内には、木曽産のヒノキとカラマツの製材だけで組み上げた架構が連なる〔写真1〕。用いた構造材の大半は、一般に流通するのと同じ長さ4mの製材だ。一部で長さ6mの製材も使った。
「プロポーザルの募集要項からは、地域の木材を、地域で加工し、地域の技術でつくりたいという思いが読み取れた。そこで、できるだけ長さ4mの一般的な製材で成り立つ構造とし、地元の大工が施工できる在来軸組みで設計を練った」。そう話すのは、設計を手掛けた千田(ちだ)建築設計(千葉県柏市)共同主宰の千田友己氏だ。同社は木曽町が17年に実施した公募型プロポーザルで設計者に選ばれた。