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岩手県住田町は、人口約5500人ながら、大スパンの木造庁舎や、貫構造を持つ消防署の建設で注目を集めてきた。これまでの教訓を生かし、町産材を無理なく使いながら、気仙大工の技術も生かした建築づくりを実現した。

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 2004年から「森林・林業日本一のまちづくり」を掲げる住田町に21年3月、新たな木造建築が加わった。1つが上有住(かみありす)地区公民館。若手のパーシモンヒルズ・アーキテクツ(川崎市)が設計を担当した。

 19年の公募型設計プロポーザルには100者が応募し、注目を集めた。パーシモンヒルズは、国の登録有形文化財である住田町民俗資料館を中心に据えた広場をつくり、町の顔にしようと提案。広場を縁取るように公民館を配置しているのが特徴だ。

 平屋で高さも抑えた建築ながら、内部に広がりのある空間を生んでいる。はしご状の棟木を通し、そこから方杖を出して、最大約10mスパンの登り梁を受ける。方杖によって登り梁に曲げモーメントがほぼゼロとなる箇所をつくり、追っ掛け大栓継ぎで登り梁をつないだ〔写真1〕。

〔写真1〕方杖と登り梁で最大約10mスパンの架構
〔写真1〕方杖と登り梁で最大約10mスパンの架構
全景(上)とホールの内観。はしご状の棟木から方杖を両側に出して登り梁を受ける。設計者のパーシモンヒルズ・アーキテクツは2019年の設計プロポーザルで選ばれた。木造・平屋の建物は延べ521.67m2。施工は佐賀組・坂井建設JVで、21年3月完成(写真:日経アーキテクチュア)
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